2011年4月6日水曜日

単純なる心を持つのは実にむずかしい(20110406)

 上記表題は、島崎藤村の言葉である。この言葉の前に「混乱せる今の時にあたって、」という語句がある。

 今、この国は未曾有の大災害に遭って、非常に混乱している。このような時こそ単純な心を持ちたい。津波で夫を失い、妻を失い、子どもを失い、親を失い、家も財産も失った非常に多くの方々がいる。わが身をその立場に置き換えて、その悲しみを想像すれば、その悲しみは言語に絶するものがある。しかし、本当の悲しみは当事者にしか分からない。

 原発の事故のため集団避難生活を余儀なくされている人びとの苦しみも、その本当のところは当時者にしかわからない。同じ苦しみを受けている人びとはお互い助け合い、慰め合い、励まし合っている。

全国各地、世界各地から同情と見舞いの心が寄せられている。お名前をあげるときりがないが、非常に多くの有名人がそのような方々の苦しみや悲しみを分かち合おうと非常に多額な寄付と奉仕活動を行っている。無名の非常に多くの方々が、自らの労力を提供して同じ気持ちでボランティア活動を行っている。

メディアも連日、被災地の状況や原発事故の状況を伝えている。政府も企業も地方自治体も、皆、この未曾有の大災害から立ち直るため、懸命な努力をしている。128百万人の日本国民が、なんとかこの困難な状況から抜け出したいと切に願望し、じっとしてはいられずそれぞれその同じ願望の方向に向けて行動している。

そういう中、放射能汚染の問題について、海外からの厳しい目が注がれている。「情報が不十分である、不正確である」という批判が出ている。農水省には放射能汚染状況の情報が提供されていないと、通産省に抗議している。

原発からの放射能汚染が深刻になりつつある状況下、そして、被災者や被災地の苦しみに人びとが徐々に耐えきれなくなりつつある状況下、この国の中で非難・批判の声が高まる可能性がある。人びとはそのようにしてストレスを解消したいと思っているだろう。

今、必要なのは、島崎藤村が言うような「単純な心」である。天皇陛下は、自ら粗食を求め、不自由な暮らしを求め、人びとのため祈りを捧げて下さっている。

菅首相以下要人は、そのような暇さえ惜しいだろうが、陛下のお心を「単純に」有難く思い、是非機会を作って明治神宮と靖国神社にお参りし、祖霊と国のため散った人びとの御霊に、心を正して祈願されるとよいと思う。

昔、真の武士は、吉田松陰や西郷隆盛に象徴されるように、単純な清い心を持っていた。今の時代、「神頼み」と揶揄され、批判され、非難され、嘲笑にさらされるかもしれないが、菅首相以下政府要人が、そのような「単純な」行動をされれば、必ず復旧・復興への希望の光が射してくるに違いない。

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