2011年6月4日土曜日

アルツハイマー型認知症の薬 (20110604)

 母はこれまでアリセプトDという薬、一錠3㎎のものを処方されて2週間毎朝一錠づつ服用した。母をタクシーでH市のU病院まで連れてゆき、診察を受けさせた。今度は5㎎のものを4週間分処方してもらった。

 この薬は学習障害意を改善するとともに認知症症状の進行を抑え、脳の活動を活発にする作用があるとされている。副作用としては食欲不振、吐き気や便が柔らかくなること、活発になりすぎることなどがあるとされている。しかし母の場合、この2週間そのような副作用は全く無かった。

 この薬は、「もの忘れ」「一度言ったことを何度も繰り返す」「意欲の低下」などの症状に効果があるとされている。この薬は老化によるもの忘れの進行と並行する形でアルツハイマー型認知症の症状の進行を抑えると考えられている。そして、もし途中でこの薬の服用を止めた場合、その症状が急に進行してしまうとされている。

 母の場合、自分の症状が進行することを恐れているので、今のところ毎朝忘れずにこの薬を飲んでくれている。母には薬の副作用のことは話さないことにしている。その理由は、もし話してしまえば母は自分の食欲が無くなったりしたとき薬のせいだとして薬を飲まなくなってしまうおそれがあるからである。しかし女房の考え方は違っている。女房は「母は食欲がなくなったとか便が柔らかくなりすぎたとしても薬の服用は絶対止めないだろう、だからまだ頭がしっかりしているうちに薬の副作用のことを話しておいた方が良い、その方が親切である」という。そうかもしれない。判断が分かれる。そこでこのことについては暫く様子をみることにした。

 男も女房も一旦横浜に戻り、母を以前のように独り暮らしさせるつもりでいるが、ご近所の方々には迷惑をかけないようにいろいろ対策を講じている。一昨年台所はIHにした。母はこれを使うことに慣れている。仏壇ではローソクの代りにローソク状のライトにした。線香は使わないようにした。ご近所にはそのことを話して安心してもらった。

 昨日いつも気にかけてくれているお巡りさんが訪れてくれたので、母のことなどについていろいろ情報を伝えておいた。そのお巡りさんはアルツハイマー型認知症の母親を抱えて苦労したという。そのお巡りさんは職業柄、母を施設に入れることをしきりに勧める。男は、母を施設にいれる時期は母の症状の進行度を判断して決めるしかないと思っている。

 薬を服用していても症状は確実に進行して行くだろう。状況の変化を把握するため、母との頻繁な電話連絡、在宅介護サービスを提供してくれている組織との密度の濃い連絡、これまで以上に頻繁な介護帰省をしなければならないと思う。

 H病院に『アリセプト手帳』が置いてあったので数冊貰って帰った。これには症状を毎日細かく観察しチェックするシートが綴じられている。エンジニアが機械のパフォーマンスチェックをするように、毎日アルツハイマー型認知症の患者である母をチェックするのが一番よいが、その体制に入るのはもうちょっと先でよいだろうと男は思っている。