2011年6月26日日曜日

日露戦争前哨戦(続)(20110626)

 宮城県沖排他的水域に中国の調査船が無通告で入った。中国は;

1992年に「領海法」を制定し、「尖閣諸島・南沙諸島・西沙諸島・その他の島嶼」を中国領として明記したこと、

1997年に「海軍発展戦略」の中で軍事的防衛ラインとして、第一列島線および第二列島線の概念を強調したこと、(第一列島線は九州・沖縄から台湾・フィリピン・インドネシアの諸島群などを結ぶ線であり、第2列島線は伊豆・小笠原諸島からグアム・サイパンを含むマリアナ諸島群などを結ぶ線結ぶ線である。)

③中国共産党は2007年に「琉球復国運動基本綱領」というものをつくり、そこに「琉球人民は日本の琉球群島に対する植民地統治を認めない」などと書き、さらに「琉球臨時憲法」第4条に「琉球共和国は、奄美州、沖縄州、八重山州の三つの主要な州からなる」と書いてあること、

2010年に「南シナ海や尖閣諸島を含む東シナ海の問題」を、「台湾やチベット、新疆ウイグル両自治区」などと並んで一切の妥協をこばむ「核心的利益」に分類し、東シナ海・沖縄・南西諸島・台湾を核心的利益に入れたこと、

⑤去年から今年に尖閣沖中国漁船衝突事件を起こし、中国海軍ヘリコプターがわが護衛艦に対ししばしば無謀な接近をしていること、

⑥中国は沖縄を「琉球」と呼んでいるが、去年の中国のデモでは日の丸を踏みつけているデモ隊の白いシャツに「琉球奪還」とプリントしてあったこと

など、中国国家組織や一部中国人民の思想・行動には見逃してはならないものがある。

しかし私は、これも中国の国家組織の中のそれぞれ役割を担っている組織による「自存」行動であると思っている。問題は、我が国がその「自存」の行動を「自存行動である」と認識していないことである。人でも組織でも「生き残ること」を目的として行動するものである。それをただ単に「利益と利益のぶつかり合い」としか観ないのは大間違いである。

生き残るため、人も組織も道徳やルールを無視しがちである。道徳やルールを無視する相手に対して、こちらが強ければ相手もこちらを尊重し、その行動におのずと自制心が働くものである。将来、日本は核武装することも辞さないという姿勢が必要である。

さて、日露戦争の緒戦は、日本・ロシア双方の自制の中に偶発的に起きた。仕掛けたのは日本であるがロシアも日本に仕掛ける時機を狙っていた。日露間の緊張関係が高まっているときに、“韓国の釜山(プサン)沖で決起に逸った日本艦艇が露国の商船を拿捕した云うことである。日本艦隊は行動を起こしたものの、できるだけ長くそれを秘匿しておく必要があったのである。しかるに露国商船を拿捕したとなると自ら交戦状態に入ったことを告知したことになる。”(“”は既述のとおり秋山氏の著作から引用したことを示す。)

各国の軍艦が停泊中の仁川港で一発触発の緊急事態が高まってきた。近代史をよく学べば、中国の「自存」の動きに対して決して鈍感であってはならないのである。  (続く)

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