2011年6月14日火曜日

父の日のプレゼントを貰って (20110614)

 思いがけず父の日のプレゼントが送られてきた。毎年誕生日や母の日や父の日に子たちから何か贈られてくるが、男はこの時期そのことを忘れていた。このブログで‘男’というのはそろそろ止めて、一時期呼称していたように‘老人’にしなければならないと思うが、この齢になってもまだ色気を失っていないのでまだ‘男’と称することにしよう。

男が今年の父の日に贈られたものは、日本製のAIGLEのポロシャツである。これはエーグルの生地で作られたもので、汗を透湿させ容易に蒸発させるものである能書きがある。男はデザインとともにその能書きが大いに気に入っている。添えられた手紙には男が母の介護で九州に行ったり来たりして疲れたことを気遣ってくれる言葉とともに、その品物は嫁が中3の孫娘と一緒に品物を選んだことが書かれている。贈り主の名前は息子である。一家皆で真心をこめて男に父の日の贈り物をしてくれたのである。

小包の中にその孫娘が修学旅行で買った土産の長野の蕎麦も添えられていた。女房は今夕の食事をその蕎麦にしてくれた。その蕎麦は蕎麦粉100%の味がして美味しかった。孫娘はその蕎麦を食べたわけではなかったが、店の人に「きっと美味しいと言うだろう」と勧められて土産に買ったという。

 男はお礼かたがた久しぶりその嫁と、孫娘と長電話で語り合った。初めに女房が電話を入れ話した後代わって話した。男の部屋の壁には所狭しと写真パネルが何枚も掲げられているが、その一つのパネルにその孫娘が1歳のとき長野の佐久で嫁に抱かれて写っている写真がある。その写真は男が60歳の還暦を子たちが祝ってくれるため男の家族全員、当時8名が軽井沢に集合したとき、男が建設委員長として関わったある建物の前で男の友人がシャッターを押して撮ってくれた家族の集合写真の中にあるものである。

 あれから14年の月日が経ち、その孫娘は15歳になった。来年高校の受験を控えている節目の齢である。孫娘に聞いてみて初めて知ったが、修学旅行の同級生はおよそ320名で8クラスあるという。同級生の多くは小学校時代から一緒であるという。男は自分が中学生のとき同級生が377名いて7学級であったこと、小学校時代からの同級生も多数いたこと、小中学校一緒だった竹馬の友がいてそれがこの齢になってとても幸せに感じていることなどをその孫娘に話した。その時は、男は先ほどテレビで見た大津波で母親を喪ったある娘さんのことについて、全く念頭にはなかった。

 3ヶ月前起きた巨大地震よる大津波で非常に多くの人たちが親や子や兄弟姉妹を喪っている。そればかりではなく人生の記録である家族の写真さえも失った人も非常に多い。その悲しみはいかばかりであろうか。テレビや新聞などで報じられるたびに男も胸を痛める。

 仏はいろいろな方便で人々を教え導くとお経には書かれているが、それはなんと惨い方便であろうかと男は思う。心に深い傷を負った人々があまりにも多すぎると思う。しかし写真やその方の娘さんの話から、その人は女房のような人柄だと思う母親を喪ったその娘さんは、甥っ子を抱いて笑顔を見せていた。それも仏の方便の一つなのだろうと男は思う。