2011年6月22日水曜日

万物みな自存を目指す (20110622)

 人も、夫婦も、家庭も、会社も、自治体も、国も、路傍の名もないような野草も、小さな虫けらも、何もかも、万物、あらゆるもの、皆こぞって自らの存続を目指している。人が富を得ることを目指すのも、根本にはその自存の原理が働いている。人が他者より優位に立とうとする行動もこの自存の原理に基づいている。

 この世の現実は、無数とも言えるそのような‘自存の意志’同士の衝突で満ちている。倫理的な‘法’、国際法、国内法、諸法律に基づく行為は善とされ、それらに基づかない行為は悪とされるが、自存のため、あえて‘悪’を実行する人も、組織も、国も、現実には存在している。お互いその‘悪’を認め合う場合は、その両者の間で表立った衝突は生じない。そうでない場合は両者の間で衝突が生じる。

 高級官僚の一部の者が暗黙の結束をし、合法的に自分たちだけの富を守ろうとすることを一般には‘甘い汁を吸い合う’と言うだろうが、そのような行為と、非合法に富を手中にしようとする暴力団幹部と、根本的にどう異なるだろうか?政治資金を集めるために影響力の大きい政治家の秘書たちが、‘甘い汁’を吸いたい企業に恫喝めいたことを言って金を集める行為と、暴力的な脅しで金を集めようとする組員の行為と根本的にどう異なっているだろうか?みな‘自存を目指す’行動という意味では同じである。

 ある国が国際法を無視して他国を蹂躙しようとする場合も、その国の自存の行動である。北方領土は当時のソ連のそのような自存の行動により占領され、近年ロシアはその実効支配を強化しようとしている。竹島も戦争に負け弱っていた我が国の隙を衝いて、日本への誤解により日本に恨みを抱いていた李承晩が勝手に引いたラインの内側に竹島を入れた結果、韓国により実効支配されてしまっている。おまけに日本海も韓国では東海と呼称し、それらを韓国は国際的に認知させようと行動している。革心的利益と称して国家的戦略として奄美・沖縄・台湾を自国の圏内に入れている中国は尖閣諸島漁船衝突事件を起こした。11隻もの中国艦隊は宮古と沖縄本島間を堂々と行動し西太平洋で演習を行っている。これらはすべて、それぞれの国の自存の行動に他ならない。

 書店には日本の古代史を意図的に捻じ曲げようとする本が並べられている。日本は自由な国であるから、良識ある日本人ならそのような本に惑わされないだろう。しかし愛国心の希薄な者どもはそのような本に尤もらしく書かれている内容を信じてしまうだろう。

 日清・日露戦争や支那事変や太平洋戦争は、もともと列強のアジア侵略を食い止めようとした自存自衛の戦争がスタートであり、その後我が国の未熟さ、彼の国々の巧妙さがあってずるずる深みにはまってしまった戦争である。

 男も戦争は大嫌いである。戦争は決してしてはならない。しかし現実の世界は、自存の行動により火種が絶えない。降りかかる火の粉は未然に防がねばならない。昔のことをあれこれ考えるのも必要であるが、現実の世界では長くて近年、短くて昨日今日のことに最も意を働かせるべきである。さもないと、我が国は自存できなくなるだろう。

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