2011年7月5日火曜日

日露戦争前哨戦(続)(20110705)

 中国と日本は一衣帯水の関係であり、経済の関係は非常に密接である。しかし、政治の関係では表向き友好的であるが裏では敵対的である。中国の胡錦濤総書記(国家主席)は1日午前、北京の人民大会堂で開かれた共産党創設90周年の祝賀大会で演説し、「活力にあふれた中国は世界の東方にそびえ立ち、中華民族の偉大な復興に向かって自信に満ちている」と述べた。また「強固な国防、強大な軍隊は国家主権、領土保全の堅固な後ろ盾だ」と宣言し、「富国と強い軍隊の実現を同時に進めなければならない」と、軍事力の近代化に力を入れて行く方針を示した。

 これは、明治時代、我が国が列強に伍してゆくため「富国強兵」をスローガンに掲げた状況と似ている。これを中国の覇権主義と捉えるか、「自存」目的のための手段と捉えるかによって、我が国の対応も変わってくる。「覇権主義」なら、国際社会で中国を非難し、それなりの自衛を考えればそれでよい。しかし、「自存」目的の手段としての「富国強兵」方針ならば、大いに警戒が必要である。中国は、このブログ『日露戦争前哨戦(続)(20110626)』で書いたように、1992年の「領海法」や1997年の「海軍発展戦略」や2007年の「琉球復国運動基本綱領」などに書かれているとおり、中国国家・共産党としての強い方針を持って、非常に利己的な「核心的利益」を追及している。彼らには我が国の憲法の前文にある「信義」や「公正」の精神はない。ただ、13億の自国民が生き残ることだけが彼らの目標である。このことを、日本国民はしっかりと認識すべきである。

 昨年行われた沖縄県知事選で敗れはしたものの、前宜野湾市長伊波洋一氏(58歳)が読売新聞のインタヴューに答えて次のように言っていた。(このブログ記事「沖縄県知事選(20101025)」より引用)

日米安保条約は時代錯誤であり、日本は同盟深化より日米平和友好条約を締結すべきである。

尖閣諸島近海の平和的漁業の実現のため中国と平和的友好関係を作りたい。

沖縄は明治時代日本に併合されるまで、中国との朝貢関係にあった。中国はとても身近に感じる。

先島諸島への自衛隊配備には反対である。

米軍基地撤去を武器にして中国と対話を進めるべきである。

いま尖閣の領有権どころか沖縄の領有権すら危機を迎えつつある。 中国は「戦後体制において、沖縄諸島は戦勝国である中国に返還すべきであった」と主張している。沖縄には現在も中国帰化人の子孫が多数いるという。県内でもこの中国帰化人の子孫であることは一種のステイタスなっていると聞く。沖縄は今、中国にとって好都合な状況にある。

私は、仁川における日露戦争の前哨戦というべき海戦について、歴史の真実を掘り起こした秋山代治郎氏の著作・論文の記事を引用しながら、現在の日本の領土・領海・領空の保全上の危機について書き続けて行こうと思う。               (続く)

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