2011年7月26日火曜日

日露戦争前哨戦(補記) (20110726)

 ワリヤーグという名前の航空母艦について、再び秋山代治郎氏の論文を引用する。

“新たにワリヤーグ号の名称を受け継いだのは、排水量67500トンの大型航空母艦である。この最代目ワリヤーグ号は、予定通り1993年(平成5年)に就役、ロシア海軍の太平洋艦隊に配属され、ウラジオストックを拠点に日本海をはじめ太平洋一帯を周遊しその威容を示した。

この三代目ワリヤーグ号の大型航空母艦は、19991年(平成3年)12月ソビエト社会主義共和国連邦の崩壊によって、多くの独立国に分離した新しい態勢の下で、何れの独立国に所属するかが問題となった。ロシアには同型の航空母艦アドミラル・クズネツオーフ号があるので、ワリヤーグ号はウクライナ共和国に所属することになり、ウラジオストックを去って黒海に入り、ウクライナの軍港を根拠地として黒海一帯に睨みを利かした。

しかしこんな大型空母は、黒海では云わば無用の長物であり、艦齢も重なって老朽化したので1998年(平成10年)に廃艦となり、マカオの興行主に海に浮かぶホテル・娯楽設備の母台に利用する為、2千万ドルで買い取られた。

ところが、トルコ政府は危険を理由にボスボラス海峡通過の許可を下さなかった。2年余にわたる交渉の結果、大砲など戦力設備の一切を取り外し無防備にした上で、ようやくマカオに向けて回送されることになった。・・(中略)・・

2007年(平成19年)43日の日本経済新聞(夕刊)によれば、中国政府がこれを大連港に運び、中国海軍の手によって航空母艦に再生させる計画・・(中略)・・既に2006年の秋、これに搭載する艦載機としてスホイ33をロシアから購入・・(後略)。”

BSフジの「プライムニュース」に出演した古庄元海上幕僚長は、「航空母艦の常時運用のためには、一軍港あたり3隻の航空母艦が必要になる。中国は太平洋への出口となる軍港と南シナ海への出口となる軍港の2か所で航空母艦を運用するとなれば、最低6隻の航空母艦が必要になる。」と言った。また同じ番組に出た佐藤正久参議院議員は、「航空母艦にとって怖いのは潜水艦である。中国は13億人を養うため行動している。国際法などルール口先で守る、守っているといっても、実際は守らない。自衛官の数の削減は無茶である。少なくとも充足率を上げてほしい」と言った。また古庄氏は「海上自衛隊のヘリコプター搭載大型護衛艦は、ヘリコプター以外にハリヤーなど垂直離陸可能な戦闘攻撃機を搭載することができる。この艦は陸海空統合運用の指揮所システムも持つことができる。陸上戦闘を行う部隊を乗せることも可能である」と言った。

南シナ海を自国の領海にしようと意図し、東シナ海第一列島線内も同様に意図し、例え何十年かかろうとも必ずその意図を実現させるつもりである中国、海軍のみならず、日本で云えば海上保安庁や水産庁などの船も実質‘海軍’の船としている中国は、今後半世紀ごろに必ずその国家戦略計画目標を達成しようと謀略的戦闘行為をするだろう。その時、私はこの世にいない。児孫のため、口酸っぱく警鐘を鳴らし続けたい。 (続く)

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