2011年7月21日木曜日

日露戦争前哨戦(20110721)26日から「補記」で継続)

 大山元帥の意見書を読むと、明治時代の日本の厳しい立場が良くわかる。当時の日本は列強の餌食にならぬように、それこそ「自存」をかけて頑張っていたのである。そこには、今の日本の状況と違って、香り高い「武士道」精神を持った「志」高い士族がいた。

 今の中国も13億人の人民を養うため血眼になってエネルギー資源の確保に突進している。そこには「自分さえよければよい」という、まるで野生動物の本能のように見える行動をしている。その推進者は徹底的な「愛国心」教育を受けたエリート共産党員たちである。東シナ海や南シナ海における中国の行動に対して日本が真剣な対応をせず、彼らが為すままに放任すれば、結果は自ずと明らかである。前日の記事を続ける。

“・・(中略)・・帝国若し之を傍観して其為す儘に放任せば朝鮮半島は彼の領有に帰せんこと必ず三四年を出でざるべし彼果たして之を取らんか我は唯一の保障を失うなり西海の門戸破壊するなり僅かに一衣帯水を隔てゝ直に虎狼の強大国に接するなり利刃を脇肋に擬せらるゝなり我帝国臣民の寒心憂慮すべき豈之に過ぐるものあらんや”

“対露交渉開始の急務 因て思ふ我帝国は宜しく今に迨ひて露国に交渉し速に朝鮮問題を解決すべし若し今日に於て之を交渉せば或は必ずしも兵力に訴えず容易に解決を見るを得べし若し不幸にして開戦に至るも彼の軍備は今日尚ほ欠点あり我軍備未だ充実せずと雖も彼此の兵力未だ平均を失わず方さに抗衡するに足る故に国家百年の長計の為朝鮮問題を解決するは唯唯此時を然りとす。”

“大山参謀総長の内閣への意見書提出と相前後して、所謂「七博士意見書」が首相に提出された。東京帝国大学教授の富井政章、寺尾亨、高橋作衛、中村進午、金井延、小野塚喜平次、戸水寛人の七博士のこの対露強硬意見は、三万四千余文字に及ぶ長文の論説であるが、これは『東京朝日新聞』(明治36624日)に掲載されると、世論は開戦に向けて激しく盛り上げられた。”

秋山氏の著作・論文は引用するにはあまりにも膨大である。秋山氏は、日本側の先制攻撃について諸史料・文献を引用して、ロシア側も先制攻撃の意図があったことを明らかにしている。謀略・奇襲・先制攻撃・占領・実効支配などは、国家が予め定めた方針に基づく軍の行動として自然なことである。今、中国は国家・共産党の方針として、関連記事「日露戦争前哨戦(続)(20110626)」に書いたとおり、第一列島線、第二列島線を決めて、第一列島線に「核心的利益」を宣言している。尖閣諸島の中国漁船衝突事件はそういう中国の国家戦略のなかで起きるべくして起きている。

指導者たちの呑気な、プアな思想・政治信条のため、この国は、特に沖縄・南西諸島は危険な状況に置かれている。関連記事「沖縄の問題(2)(20101102)」に書いたとおり、沖縄では反日的日教組が中国の手先となって暗躍している。一部の政治家は既に中国の影響下にあるように見える。日本人は、今こそ日本国家の「自存」という観念を呼び覚まし、野獣のような心をもつ国々に対して強い警戒心と力を持つべきである。   (一旦終り)

0 件のコメント: