2011年9月3日土曜日

渡部昇一『日本史』を読んで日本人はどうあるべきか考える(4) (20110903)

 歴史について二つの見方があると渡部先生は言う。

 “一つは考古学的な発掘からはじまるもの、もう一つは文献からはじまるものである。・・(中略)・・日本の国にとって特に重要な文献は神話といわれるものである。ただし、どこの国にも神話は存在するが、他の国にとって、神話と歴史とはほとんど関係ないと考えてよい。なぜならば、神話の時代とその後そこに住んでいる人たちは民族が違っているし、もちろん王朝も違っているからである。・・(中略)・・

 ところが日本の場合は、神話が今現在も続く王朝(天皇家)に直結している特異な国であり、それゆえ神話は特別の意味を持っている。それを明治の頃までの学者たちは心得ていた。・・(中略)・・

 神話に書かれている内容と歴史とがリンクする部分についてはいろいろな解釈があるが、何よりも重要なのは、そこに書かれた伝承が今の皇室まで一本線でつながっている点なのである。

 では日本の神話についてどう書かれているのか、それはまず日本が島国であったというところからはじまっている。神様がこの島国をつくられたというのであるが、これはどこの国の神話をみても、神のような存在がこの世をつくったという話になっている。その点では似たようなものである。

 ただ、日本の神様は単に「国をつくった」というのではなく、「島国をつくった」と明確に書いてある。そしてつくった島の名前も詳細に書いてあり、そこに佐渡島(さどがしま)まで出ている。そこから、日本の王直を立てた民族は少なくとも船で日本を回った経験があるだろう、という推定ができる。

 すなわち騎馬民族説というのははじめから成り立たないのである。したがって、日本の皇室を中心とする支配民族、後に大和(やまと)朝廷をつくり日本の国の根幹となった人たちは、だいたいは南方系と考えてよいだろう。”

 私は、小中学校教育では、『古事記』をしっかりと教えるべきであると思う。『日本列島の大王たち』(古田武彦著、朝日文庫)という単行本がある。そこに次の一節がある。“江上波夫氏の騎馬民族説は、津田史学の双肩の上に立脚している。・・(中略)・・津田史学の根本たる「記紀説話創造説」、・・(中略)・・逆にいえば、もし本当に騎馬民族の大陸から日本列島への侵入があったとすれば、これほど絵になる光景はまたとないであろう。”

私は日本の教育の現場から東大津田史学史観を徹底排除すべきであると思う。民主党の小沢一郎氏が文化勲章をもらった江上波夫氏の騎馬民族説を信じて、140人もの国会議員を引き連れて中国(王朝)詣でをしたことや、「この日本は日本人だけのものではない」と発言した鳩山由紀夫氏も菅直人氏も、その出自はともかくとして多くの民主党の国会議員たちも、騎馬民族説を信奉している同類であると思い、不愉快に思っている。 (続く)

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