2011年9月5日月曜日

渡部昇一『日本史』を読んで日本人はどうあるべきか考える(6) (20110905)

縄文人は人類がアフリカを出発した初期の段階で日本列島やってきている。ミトコンドリア遺伝子のタイプM7aは日本列島全域に分布している.。このタイプM7aは朝鮮半島南部及びロシア沿海州に僅か1%ぐらいの分布が見られるが、この日本列島だけに多く分布している。この縄文人は南洋諸島にも広がっていたかもしれないが、中国大陸・朝鮮におけると同様、後発の人々によって駆逐されてしまったのかもしれない。

南方諸島には日本と類似した神話を伝承しているという。そのことが、吉田敦彦著『日本神話の源流』に書かれている。しかし渡部昇一著『決定版 日本史』には、佐渡島など地名をあげた国造りの話は今の皇室にもつながる話であり日本独自のものであると書かれている。世界中どこにも、日本のような万世一系の王朝は存在していないのである。

吉田敦彦著『日本神話の源流』によれば、“日向神話と並んで、南洋の伝承との類似性が特にいちじるしいといわれてきたのは、イザナギとイザナミの夫婦神を主人公とする、「国生み神話」の部分である。・・(中略)・・南洋諸島は、太古に神が海底から島を釣り上げたという形で、陸地の起源を説明したもので「島釣り型」として分離されている。・・(中略)・・島が男女の交合の結果、子として生み出されたという、「島生み型」の陸地創造神話も、ポリネシアに広く分布している。・・(中略)・・イザナギの黄泉国訪問の物語とよく似たポリネシアの神話は、ニュージーランドのマオリ族のあいだに伝わる、・・(中略)・・

日本神話と古代ギリシアの神話のあいだに、いくつかの注目すべき類似点が見られるということは、すでに明治以来、内外の研究者によってしばしば注意されてきた。・・(中略)・・イザナミの黄泉の国訪問の神話と、ギリシアの有名なオルペウス伝説のあいだに見られる類似である。”

しかし、私は『日本神話の源流』で著者がいろいろ論証しながら最後に、“「古事記」「日本書紀」に見られる神話体系の成立にあたって、決定的な役割を演じたのは、朝鮮半島を経由した支配者文化の一環として入りこんできたと思われる、印欧系文化に源流を発する神話の影響であった。”と結論付けていることに不快感を覚える。理由は、江上波夫「騎馬民族征服王朝説」同様、彼に日本の歴史に対する「史観」がないと見るからである。

日本人は『古事記』『日本書紀』の記述を「史観」として単純に受けいれ、万世一系の天皇を頂くこの日本の国民であることを誇りに思うべきである。一部の学者たちは、あの手この手で日本人のアイデンティティを否定しようとしている。私は彼らが単に学問の専門馬鹿なのか確信犯なのかはわからないが、彼らの説に韓国の学者が便乗し、万葉集や日本の言語文化の源を古代韓国に無理やりこじつけた本を書いて出している。

日本人は日本人の「体外遺伝子」である日本の精神文化を大事にしなければならない。その精神文化を示す言葉は数えきれないほどあるが、天皇・古事記・日本書紀・神道・仏教・武士道・合気道・茶道・万葉集・和歌・能・狂言などなどである。 

再び渡部昇一『決定版 日本史』に戻る。

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