2012年1月24日火曜日


「あの世」の研究 (20120124)

 ナノテクノロジーによって再生医療分野は画期的な発達をみせているようである。近未来には人間の寿命を画期的に伸ばす医療技術が開発されるかもしれない。そのうち寿命がなかなか来ず不老不死のような人間が現れるかもしれない。男は哲学研究で「あの世」が存在を科学的に証明されるに違いないと考え、あれこれ資料を集めたり、考えたりしているが、もし人間が体の細胞や機関をナノ技術の人工品に置き換えて不老不死になった場合、その人の「あの世」はどうなるのかと馬鹿と思われるようなことを本気で考えている。

男は自分の手甲を見て「わしも人並み老いたな」とつくづく思う。左足の大腿四頭筋に何か異常があるらしく、整形外科の先生に診てもらいMRIも撮ったが異常がない。かといって坐骨神経痛でもない。運動を控えて休ませていると回復し、ある時はまったく異常がないことがある。異常がないからとエスカレータに乗らず、長い階段を駆け上がったりすると、後で筋肉に疲労がたまりまた元の状態になる。低い階段を上がるため左足を持ち上げるとき「痛みが来ないか」とつい緊張してしまう。入浴して体が温まるとそのような症状はほとんど感じなくなる。わしの体も以前のように頑健ではなくなってきた。

近ごろは放送大学の単位認定試験を受けるため勉強している女房が毎晩12時前後まで起きているので、男も自分の部屋でコンピュータに向かってブログを書いたりフェイスブックに目を通し「いいね!」をしたりコメントを書いたりしている。これは健康管理上褒められることではない。年寄りは早寝早起きし、朝空気が清浄なうちに外を歩き、体調を整えるようにするべきである。大腿四頭筋が痛むのは自業自得である。

女房は放送大学のそれぞれ別の専攻で2回卒業している。今度の専攻は「社会と産業」で、『国際経営』『社会と銀行』などあと少しの専門科目で単位をとれば卒業できると頑張っている。勉強が楽しいから頑張れるのだという。これまで知らなかったことを知り、世の中のいろいろな動きが分かるようになったから放送大学の勉強が一層楽しいのだという。男はわが女房ながら感心であると思っている。しかし男はどうもそんな気にはなれない。「あの世」の研究には市販の本や新聞の科学記事など耳学問で十分である。もともと分子生物学や量子論や素粒子論などある程度知っている。それ以上細かいことに踏み込んで勉強してもわしの「あの世」の研究には役立たないと直感的にそう感じている。だから女房のように勉強が楽しいとは思えないのである。

スイスにある欧州原子核研究機構(CERN)では日本の研究者も多数加わって、宇宙の本質をとらまえようと研究が行われている。日本にも同様の加速器が二つあり世界最強であるという。欧米からの依頼があって日本は更に大型の加速器を設置しようとしている。福岡の背振山山麓などには堅い岩盤層があって加速設置には有利だという。

CERNでは粒子を高速でぶっつけて5次元の世界の存在を確認しようとしているが、地元では危険を恐れて反対があると聞く。限度を超えたナノ技術による再生医療や5次元の証明の実験などは、神を恐れぬ人間が神を超えるようなことをする試みかもしれぬ。