2012年8月11日土曜日


お盆の帰省(20120811)

 今年もお盆の時期になった。男と女房は田舎に帰る準備に忙しい。新幹線の切符は既に取ってある。二人とももう齢なので道中の荷はなるべく軽くしておきたいと着替えの衣類や土産物など宅急便で送ることにした。田舎なので翌々日の配達となる。今日夕刻7時まで宅急便の会社の出先事業所まで荷物を持ち込めば本日の扱いとなる。その事業所は男の家の近くにあり、自転車に積んで運べばよい。もし雨天ならば追加料金を払えば事業者が自宅まで受け取りにきてくれる。

 田舎には1週間滞在する予定である。お盆3日間は今老人施設に入居中の婆さんを日帰りで連れて帰って一緒に夕食のテーブルを囲むことにしている。婆さんは長年独り暮らししていた家に帰ることを楽しみにしている。連れて帰れば必ず「ああ、やっぱり我が家は良い」という。しかしアルツハイマーを患っているので夜は施設の自分の部屋で休ませることにしている。本人もその方を望んでいる。

 婆さんが自分で希望して施設に入居してくれたので、男も女房も気が楽でざる。以前は田舎に帰るたびいろいろ気苦労が多かった。婆さんは長年世話になっていた医師から「103歳まで生きる」と言われていたが老人施設に入居して一層元気になり、毎日「ご飯が美味しい、皆といろいろ話をしていて8時半になったから自分の部屋に帰ろうと言って今帰って来たところ。毎日楽しい、いつもすみません、有難うございます」と、こちらから毎晩のように電話を入れるのだがそのたび口癖のようにそう言ってくれる。施設のスタッフの話によると婆さんと同年の友達は毎日同じような話を語り合っているらしい。

 男が婆さんに「K先生が104歳まで大丈夫だと言っていたよ」と言うと、笑いながら「子供に先に死なれたら困る」と言う。独り暮らしのときは「誰も来ない、電話も来ない」と言っていたが、今では話し相手がいて電話をしても自分の部屋にいないことが多い。婆さんの部屋の備え付けのロッカーに女房がこれまで毎年「老人の日」と「誕生日」に服や下着など婆さんが気に入りそうなものを探し回って買い求め送ってやっていたものが下げられている。ところが婆さんはそのロッカーに自分のものが入っていることを認識できず「前この部屋に入っていた人が置いて行ったみたい」と慰問に訪ねてきた婆さんの妹に言ったという。その施設はこの4月完成したばかりの新築で、婆さんが第一号入居者である。

その妹は「何を馬鹿なことを言うのかえ、これはまM子(女房)が贈ってきたものじゃがえ」と叱ったそうである。ところがそのことを忘れていて、先日も妹のK子が帰ったときも同じことを言ったという。女房は「今度帰ったときロッカーの扉に〇〇〇(婆さんの名前)を大きな字で書いた紙を貼って、衣類にも名前を付けておこう」と言っている。