2012年8月1日水曜日


永遠の0(ゼロ)(20120801)

 男は表題の題名の本を9歳年長の親友K氏から頂いた。それは八女茶と一緒に送って来た。K氏は昨年春、最愛の奥様を亡くし、子供もなく九州で独り暮らしをしている。K氏はこの本を読んで感ずるところあり、何冊かまとめ買いをして男を含む友人たちに配ったのだという。男はK氏にお礼の電話を入れる前にその本を斜め読みしてその本の概略の内容を理解した。この本を題材にした映画が作られることになったという。この本の終わりに故児玉清氏が解説を寄稿している。

 ゼロは帝国海軍零式戦闘機・零戦のことである。ゼロ戦の名パイロットだった宮部久蔵は、妻子の為に絶対生きて帰ると宣言し、臆病者と非難されたが特攻隊にも志願せず、空戦で数々の戦果を挙げ、操縦訓練の教官になり、特務少尉に昇進し特攻機の直援任務につき、敵機の銃弾を受け愛機が穴だらけになりながらも生還した。その宮部少尉は広島・長崎に原爆が落とされた後、特攻隊に志願し、鹿屋飛行場から出撃し、帰らぬ人となった。26歳であった。その時一緒に出撃した部下の搭乗機のエンジンが故障し、宮部小隊長はその部下・早稲田大学出身の大石少尉に「引き返せ」と命じた。終戦後その大石少尉が宮部少尉の妻・松乃に会い、事の次第を話した。松乃は夫・宮部久蔵の生まれ変わりだと思うようになった大石元少尉と再婚した。

そのことから、遺児・姉の慶子と弟の健太郎の実の祖父がゼロ戦パイロットで終戦間際特攻隊で死んだ宮部久蔵であることを知ることになる。慶子と健太郎の祖母・松乃は戦後騙されてやくざの組長の妻になっていた。その組長も組員も何者かに襲われて死んだ。その殺人現場にいた松乃は不思議な体験をした。傍に幽霊のように立っていた見知らぬ若い男が血刀をぶら下げていて、松乃に金が入っている封筒を渡し「生きろ」と言ったという。松乃はそれも夫・宮部久蔵の生まれ変わりだと思った。慶子と健太郎は義理の祖父・大石元少尉の話を聞いて初めて自分たちの祖母の戦後の生きざまを知った。

この本には具体的な部隊での生活や戦闘場面等以外にそのようなことが書かれている。 男は後日改めてこの分厚い小説を初めからじっくり読もうと思っている。この本の初めの方に慶子と健太郎は、特攻がテロリストと同じだというようなことを語っている。ブッシュ元アメリカ大統領は、日本の特攻がイラクでの自爆テロと同じだというようなことを語ったことがあった。男はその話を知って強い憤りを感じたものである。大東亜解放戦争中の日本人は「一生懸命必死に生き」、そして避けられぬ死に臨み「一所懸命」死んでいったのである。「一生」懸命に生き、「一所」懸命に死んだ。アッラーの神に愛されるため喜んで死んでいったイラクの無差別自爆テロやニューヨークの9・11貿易センタービルテロなどと本質的に違う。日本はアメリカが日本に対して行ったような原爆投下とか東京など都市絨毯爆撃という無差別大量殺人を行っていない。この本を題材に作られるという映画がどんなメッセージを伝えるつもりなのか関心があるところである。