2009年7月19日日曜日

脳のこと(20090719)

 最近超高磁場のMRIが出来て、脳の中を調べやすくなったようである。男はまだ脳のMRI検査を受けたことがないが、男の女房はK市のN病院でMRIMRA両方の検査を受けている。ある日の朝女房がめまいを訴えた。女房は以前、毎年検査を受けている施設で血管の老化度の検査を受けたことがある。その時の診断結果は血管の老化度が90歳の血管に相当するというものであった。男はめまいの原因が脳への血流の問題かもしれないと心配し、インターネットで医療相談を受け付けているN病院にメールで問い合わせたら、来院して検査を受けるように、という指示であった。病院では先ず耳鼻科でメヌエール氏病の検査を受け、異常がないことがわかると脳神経外科で検査を受け、MRI MRAとも全く異常ないことがわかり安心していた。男はこれらの検査がかえって心配・不安のもとをつくるという話を聞いている。脳の血管にほんの少しでも異常が見つかると、平素の生活習慣で用心しておりさえすれば大丈夫なものでも心配し、不安になるというのである。

 将棋の羽生名人の脳を調べるというテレビ番組があり、二人でその番組を見た。名人の脳は脳の奥の方にある大脳基底核という細胞群の中の尾状核というところが我々凡人と違うらしい。男は昔放送大学で勉強したが試験に受からず単位を逃した『脳と行動』という教材を書棚の奥から取り出して読み返してみた。大脳基底核は小脳と並んで運動制御の大きな中枢であるという。尾状核に病変が起きるとちょうどダンスをしているような運動が無意識のうちに起きてきて、意志の力では止めることができないとのことである。

 そのような尾状核は行動の習慣化と思考の習慣化をつかさどり、名人の直感を生みだすという。天才は努力なしでは生まれないのである。人並み外れた努力が必要である。一つのことを持続することが大切である。大脳の奥深いところにあるこの大脳基底核の下の方に進化的には古い大脳の部分で辺縁系と呼ばれる部分があり、記憶をつかさどる海馬や嗅周皮質という組織がある。天才は人並み外れた努力の結果、嗅周皮質が物体の記憶に、海馬が空間的記憶に関与し、直感を生みだすようである。

 自分の目標を達成するため毎日3時間、集中して努力を積み重ねると、自然に名人の域に達するらしい。14日、セントルイスのブッシュスタジアムで行われたアメリカ大リーグのオールスター戦で、オールスター戦9年連続出場のイチローは1回の第一打席でライト前にクリーンヒットを放った。ワールドカップでサムライ日本チームの優勝を決めたヒットを放った。それまでは無音であり、イチローはこの最終戦でヒットが出なければ野球人生が終わるという恐怖感のどん底にあった。その彼が胃潰瘍で長いこと休んでいたあと連続ヒットを重ね、今年も200本安打を達成しそうな勢いである。羽生名人といい、イチロー選手‘名人’といい、これは正に積み重ねた努力の結果身についたものである。

 人の脳は大部分休眠状態にあるらしい。特に人がまだ動物であったころの脳の部分は動物のような超能力を生みだすところなのであろうが、凡人はその部分を鍛えていない。人は目標を決めて努力を継続すれば、ものすごい力を発揮するものであると男は思う。

 辺縁系というのは哺乳類以前の下等な脊椎動物では脳の最高中枢として働いている部分であるが、この部分の中心部分に脳幹というものがあり、網様体では夢を見たその内容が記録される働きに関与しているらしい。電極を脳に付けると人の心の状態がわかるようになるという。女房はテレビ番組を見ていて「大変な時代になりそう」とぽつりと言った。