2009年7月22日水曜日

鞍馬登山(20090722)

 京都洛北の地,鞍馬山に鞍馬寺あり、昔義経がこの山で天狗に兵法と剣術を習ったという。この鞍馬には京都からJR奈良線に乗り、すぐ隣の東福寺駅で下車して阪急伝電車に乗り換える。六つ目の出町柳(終点)まで行く。そこで叡山電車に乗り換える。終点が鞍馬、一つ手前の駅が貴船口である。叡山電車は大体20分間隔で出発している。電車の天井の部分までガラス窓の新車に乗れば、鞍馬川に沿って美しい景色を一層楽しむことができる。昨日山鉾巡行を楽しみ、今日は鞍馬を楽しむ。鞍馬駅を出たところに緑の木々をバックに大きな天狗の赤いお面がでんと飾られている。男は両側の土産物店とそのお面と鞍馬駅をバックに女房の写真を一つ撮っておいた。

 またここに戻ることはないと思い、山門の手前の岸本老舗山門店という店で女房が近所の親しくしている数軒に配るお土産を買った。それはそこでしか手に入らない山菜の佃煮の詰め合わせである。佃煮はいろいろあって味見したがどれにしようか迷うほどである。
山門の入口にちょっと一休みして仏像にお参りする施設がある。そこで無料で杖を貸してくれるので、男と女房それぞれ一本ずつ杖を借りた。幸い今日も曇天で、覚悟していたかんかん照りの暑さはなく、雨上がりの参道はとても気持ちが良い。魔王の碑、由岐神社、川上地蔵尊、源義経供養塔などそれぞれ謂れを書いてある立札を読みながら、九十九折りの道を登ってゆく。道は階段がよく整備されている。男は足腰が強い方なので自分の杖も女房に使わせ、女房のバッグなどを男が持ち女房が身軽な格好で両手で杖をつきながら階段を上って行けるようにしてやった。

 山道が折曲がっている角にベンチがあったのでそこで一休みし、京都を出るときコンビニのローソンで買っておいたおにぎりなどを食べる。前を若いカップルが前を通り過ぎてゆく。先をゆく頑丈そうな男が後ろを振り返りもせず女に「大丈夫?」と声をかけている。声をかけられた小柄な女の方はハアハア息を切らせてついて行きながら「大丈夫よ」と答えている。二人が通り過ぎたあと、男は女房に小声で「大丈夫でないよ、必死についていているのに。」とつぶやいた。

 一休みしてまたゆっくりした足取りで参道を登ってゆく。義経が子供のころ登った道に沿ってこの階段の参道はできているのであろうが、男には険しさは感じなかった。しかし、女房の方は結構きつい山道であったようだ。「わたし、一度鞍馬に行ってみたいと思っていたのよ。お父さんは私が誘わなければこんなところに来なかったでしょう。」という。全くその通りである。公園や植物園などに花を観にゆくにも、何処に行くにも、男は女房に誘われて行き、いろいろ新しい経験をしている。

 ようやく鞍馬寺につき、毎年除夜の鐘を人々が並んで突くという鐘を、先ず箱にお布施のお金をなにがしか入れ、静かに合掌し、心を静寂にして、一礼して静かにゆっくりと一つだけ鐘を突いた。女房がその時の写真を撮ってくれた。

 鞍馬山を越えまた九十九折りの道を貴船の方に下ってゆく。貴船側から登って来る人たちとすれ違い、「こんにちは」と挨拶を交わす。まだ相当登ってゆかなければならないので、「もうすぐですよ」とは言わなかった。ようやく貴船に着く。貴船川のせせらぎの上で涼を楽しみながら食事ができるようになっている。そこは料金が相当高い。二人は貴船神社に詣でたあと貴船口まで連絡バスで行き、電車で再び鞍馬にもどり、温泉につかった。