2009年10月11日日曜日

高齢社会のネットワークの密度を高める実験(20091011)

 ある有名な大学がある地域で壮大な実験をするという。それは高齢者の生きがい・高齢者と子供たちとの触れ合い・介護や家庭菜園などを複合的に組み合わせたシステムを構築しようとするものである。男は自分がいずれ老人施設のお世話になる可能性があるのでこのプロジェクトには大きな関心がある。

 老人施設では家庭菜園用の農地を提供する農家と連携して、老人施設のお年寄りたちが家庭菜園を楽しむことができるようにする。一方で保育園や学童保育所などと連携してお年寄りたちが子供たちと触れ合うことができるようにする。地域の中学校や高等学校と連携して、総合教育・社会教育の一環として生徒たちがお年寄りと共に過ごす時間を設ける。

 キーワードは価値を共有するネットワークである。脳細胞でもそうであるが、分子レベルでも高密度なネットワークが形成されると知的レベルの高い仕事ができるようになる。地域社会の中でもそれぞれ小さな社会的単位の間のネットワークが高密度になるようにすればその地域で高度な文化が形成されるはずである。要はそのネットワークの形成を促す要素が必要である。大学はそのような要素を提供することができる機関である。

 大学の教員たちが社会の様々な部分におけるシステムに目を向け、その中に潜む問題を見つけ出し、社会的な知能レベルを高めるネットワークの形成に向けて何か仕事をするようになれば、世の中は変わると思う。近頃、若い人たちは与えられた問題を短時間で正確に解く能力は身につけているが、自ら問題を発見し、その発見した問題を説明し、その問題の共有者を増やし、一緒になって問題を解決するという能力に欠けていると言われている。先ず、大学の教員たちが率先してそのような状況を打破して行くべきである。上に掲げた某大学の社会的実験は教員たちがその問題を認識して行動を起こしたので、行わるようになったのであろう。男は全国各地の大学が競ってそのような試みをしたら良いと思う。

 男は老人施設に入る時先ず考えるのは、その終の棲家でインターネットに自由にアクセスできるように各室にブロードバンドが引かれていること、そして家庭菜園ができること、近くに森や川があり散策を楽しめることである。

 次に優先するのは自由でできるだけ一律性がないことである。集団生活であるから多少の一律性はやむを得ない。しかし施設の理念として‘多様性’をキーワードにいろいろ考慮されており、職員たちもよく訓練されていることが男にとって重要である。

 男が家事訪問など在宅介護のヘルパーを派遣するあるNPOの理事長をしていたとき、自らの訓練のため2級ホームヘルパーの研修を受けたことがある。そのときある有料老人ホームで研修を受けた。その施設は入居料も高いが入居者の自由度も高かった。自由に外出する人も居れば、自分で食事することもできない人や痴呆のため自由を拘束佐荒れている人もいた。入居者の半数以上は車いすを使っていた。

 その施設は非常に良い施設ではあったが食事は職員の合図で一斉に行われていた。健常者に見えるグループのすぐそばのテーブルで職員が食事の介助をしていた。男はホールは食事時にはせめてパーティションでグループを隔てるようにすべきではないかと思った。部屋は入居料によって違い二部屋続きのところもあったが、各個室で非常にコンパクトでも良いからシャワーができるようになっておればなお良いのにと思った。入居料が安くてしかも男と女房の要求を満たすことができるような老人ホームはあるだろうか。