2009年10月21日水曜日

加齢臭(20091021)

 男は毎朝シャワーを浴び胸と背中に石鹸を付けて皮脂を洗い流すことにしている。そうすれば夕方まで加齢臭を抑えることができるということを女房がテレビか何かで聞いて男に教えてくれたからである。テレビでは加齢臭を抑える石鹸のことが宣伝されている。

 女房は町を歩く年取った男性は一般に臭い感じがするという。その原因の一つは見かけの服装にあるという。年取っていてもこざっぱりとして若々しい感じがある人がいる。そういう人は臭う感じがしない。一般に言うと若々しい服をよく着こなし、歩くときは背筋をまっすぐ伸ばし足をよくあげて生き生きと歩けば周囲に爽やかな感じを与える。ところが若い時からの習慣で歩く時ポケットに手を入れたままで背中を丸め靴の踵を地面にこするようにして歩いている人は年取った時周囲に臭う感じを与える人になるに違いない。

 ところで加齢臭は男性特有のものかと思っていたら、それは性別を問わず中高年の男女に共通した現象であるということである。男性の方が脂汗が出やすいので臭いと思われるのだろうと思う。女房は男のために資生堂の「男の洗顔剤」を買ってきた。確かにこれを使うと顔を洗ったあとが大変さっぱりする。

 加齢臭は資生堂により名づけられたという。この加齢臭の原因は体臭に不飽和アルデヒドの2-ノネナール(C9H16O)にという物質が含まれているからであるという。この物質は加齢とともに増え、表現しがたい不愉快な臭いを発生させる。

 昔男がある詩吟の流統の会に入っていて熱心にやっていたころ、都内の大きな会場で詩吟の大会があった。この大会では全国各地の詩吟の各団体から男性、女性それぞれ50人ずつのチームを出して同じ吟題を合同で詠い、優劣を競う。男もある会でそのメンバーの一人として出場したことがある。各チーム必勝を期して熱心に練習を重ねるのであるが、男があるとき一つのホールで女性たちが練習している部屋に入ったことがあった。そのときプーンと嫌なにおいが鼻をついた。加齢臭である。参加している女性たちは殆どが中高年で70歳前後の人たちも結構多い。狭い空間の中で50人という大人数の人たちの一団から発する化粧のにおいと混じった加齢臭は強烈であった。当の本人たちは自分たちが発するその臭いに全く気付いていない。もし「臭い!」と言えば、大いに反感を買ったことだろう。

 喫煙者の場合、非喫煙者に比べて悪臭が強くなる傾向があるという。男は煙草を吸う人が多いし、脂汗がでるから一層臭うのだろう。この加齢臭は原因物質であるノネナールの基となっている脂肪酸で9-ヘキサデセン酸という物質が分解するため発生するという。そこでこの脂肪酸を抑える抗酸化剤と抗菌剤を使えば臭いを抑えることができるという。近頃テレビのコマーシャルで加齢臭を消す石鹸のことが宣伝されている。

 しかし男はお金を出してまでそのような石鹸を使う必要はないと思っている。女房が勧めてくれた毎朝シャワーで胸と背中の皮脂を流し、出かける時は微量の男性専用香水を喉の下や手首や足首にほんの少し付けるだけで十分である。勿論シャワーをした後は着ていた下着を取り換えることが必要である。臭い年寄りはそのようなことをしないから臭いのである。

 女房は綺麗好きで毎日のように寝具を干し、シーツなどを頻繁に交換してくれる。不精な女はそのようなことはたまにしかしない。働き者で綺麗好きで洗濯・掃除・炊事が大好きで倹約家の女性を女房にしていて、男は大変果報者だと毎日感謝している。