2010年5月24日月曜日

ブッダ『感興のことば』を学ぶ(65) (20100524)


狭山に住む友人から今年も新茶を頂いた。その友人との交流は私が若い頃からずっと続いている。彼は私よりもずっと年長である。鹿児島県人で非常に律義な方である。

お礼の電話を入れる。70代も後半となるとぼつぼつ鬼籍に入る人が増えてくる。話題は昔よく知っていた同僚・上司のことが多い。「○○さんも昨年亡くなった」という話を聞きながら往時のその人の面影を思い出す。

ヒトを含むすべての生き物の死は、その生き物を構成している細胞の集合体の死である。ヒトの体は60兆個という膨大な数の細胞で出来ていて、細胞と細胞の間はコラーゲンを初めとする各種タンパク質で接着されている。生き物の生死に関わる主な細胞は、内分泌系、神経系、免疫系に分類される組織や器官である。それらの細胞が死んだときヒトは死ぬ。

ヒトの60兆個の細胞は、毎日3000億個~4000億個死んでいる。60兆個の細胞の200分の1ほどが毎日死んでいる。死んだ細胞の不足分は細胞の分裂によって補われる。しかしその分裂は1個の細胞について50回ほど繰り返されるがその後は分裂しなくなる。つまりそのことにより細胞が減少する。そして遂にはヒトは死に至る。

細胞は火傷や外傷やなどで損傷する。このような外因で細胞が死ぬ。つまり事故で細胞が壊死(ネクローシス)する。壊死のときは細胞膜が破れ、細胞の中身が漏れ出す。細胞の中心にある大きさ1000分の数ミリ程度の核の中にあるDNAもランダムに分解される。そこに異物の存在を知った白血球が集まってきて炎症を起こす。

一方、DNAが傷ついて修復されないときに細胞は自ら死ぬ。つまり自然死(アポトーシス)する。自然死のときは細胞全体が縮小し、DNAがある核は変形し、断片化し、細胞内の小器官はそれぞれ小さな袋に詰め込まれて、マクロファージに飲み込まれて分解される。マクロファージは血管の外の組織や肺と心臓の間など腔所にいる白血球の一つである。

細胞は大きさが100分の1ミリメートルでその中に母親由来のミトコンドリアがある。この数は細胞の種類によって大きく異なっている。そのミトコンドリアの遺伝子は核の遺伝子とは別である。これは母親からしか伝わらない遺伝子である。

ミトコンドリアは一つの細胞内に数千個存在している。ミトコンドリアのDNAはミトコンドリアの核の中に収められていてATPという細胞のエネルギー源を生産に関与している。

ミトコンドリアのDNAは核のDNAに比べ変異する確率が高く、加齢とともに変異したミトコンドリアの遺伝子は細胞分裂を経て体内に広まってゆく。変異したミトコンドリアの数が増えて一定値を超えるとATPを沢山必要とする脳や骨格筋や心臓などに異常が生じる。もし母親のイトコンドリアに異常な遺伝子がある場合、そのミトコンドリア遺伝子は子供に確実に伝わり、子供の脳や骨格筋や心臓などに異常を引き起こす原因となる。従い病気で長寿を全うできない場合、その原因が母親のミトコンドリアにある場合が考えられる。

17 耳で多くのことを聞き、眼で多くのことを見る。思慮ある人は、見たこと、聞いたことを全て信じてはならない。

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