2010年5月29日土曜日

ブッダ『感興のことば』を学ぶ(70) (20100529)

 全盲のピアニスト・辻井伸行さんが「全盲のピアニストと言わせない」と、ムソルグスキーの「展覧会の絵」をアメリカに行って演奏し聴衆の喝さいを浴びた。彼のお母様が「キエフの大きな門」などの絵を彼に説明し、彼は心の中でその絵の様子を想像し、その風景をピアノ演奏で表現した。その様子をテレビで見た。その挑戦は彼にとって新たな飛躍であった。お母様の手助けを得ながら日夜血のにじむような努力を重ね、ムソルグスキーの「展覧会の絵」を自分なりの解釈で見事に表現することができた。

 その練習のとき、高音部、低音部それぞれ自分が弾いた音をテープ録音し、自分で聴いてみて手直しし、心で感じた「展覧会の絵」の風景を、自分なりの音楽的感覚で見事に表現するように苦心を重ねていた。

 芸事、匠の技でも同じであるが、初めは先ず先生のやり方を真似ることから初め、真似て真似て招き寄せ、先生のやり方の体得に努める。その過程で自分のやり方を自分なりに客観的に観察する。そして次に唯の真似から自分のやり方に脱皮する。

 男は昨日録音した王維の『雑詩』を女房に聴いてもらった。女房は即座に吟題の「雑詩」の言い方がおかしいと指摘した。これではブログに公開できない。録音しては聴いて修正することを繰り返してみたがどうも気に入らない。加齢による限界かなと思う。

 放送大学世田谷学習センターに行き、借りた本『生命と非生命のあいだ -NASAの地球外生物の研究 -』を返却した後、視聴覚室で2時間ほど勉強した。当初まだその薬の働きが分子生物学的に解明されていなかった抗生物質が、細菌のDNAの翻訳に関係する物質として理解されるようになっている。分子生物学はますます面白い。

 家に帰ったら先月郷里の中学校の昭和28年卒業の同級会があったとき57年ぶりにあった級友(女性)から手紙が届いていた。先般その時の集合写真が幹事から送られて来ていたが、あのとき「○○です」と言っていた方はこの写真の中の誰かなと思っていた。そこへ裏面に写真と名前が一致するように名前を配置したものが印刷されている手紙が来た。「あげん人居たかなー」「わからん」「判ったで」と、手紙には書かれていた。それでようやく、その時言葉を交わした方の写真と名前が一致した。

 今日(28日)鳩山総理は遂に社民党党首・福島氏を罷免した。この9ヶ月間、普天間基地問題は迷走をしてきたが、必ずしも悪い面だけではなかった。日米安保の重要性、在沖縄米海兵隊の存在の重要性への理解が国民の間に広まるとともに、多くの自治体が基地受け入れに反対している中、日本や東アジアの平和のため沖縄県民が極端に多くの負担をしていることについての認識も深まった。もともと非武装中立主義の社民党は、「国民のため」と言うが、自分たちが独善的政党であることを自覚していない。そういう政党と連立を組んだのが元々の誤りであったのだ。社民党は参院選で敗北し、更に弱体化してゆくだろう。

2 ことわりにかなわぬ語句よりなる詩を百もとなえるよりも、聞いてこころの静まる、ことわりにかなったことばを一つ聞く方がすぐれている。