2010年8月25日水曜日

協調と競争(20100825)


人と人の間でも、国と国の間でも、協調と競争がある。自分に相手と競争することができるだけの力があると、相手は自分に敬意を表する。逆に自分が相手と競争するだけの力がないと、相手は自分を見下げる。国と国の関係でもこれは全く同じことである。

日本と中国は古来対等に協調と競争の関係にあった。聖徳太子は「日出づる国の天子、書を日没する国の天子に致す」と書いた国書を小野臣妹子に携えさせて隋(当時の中国)に派遣し、朝鮮半島北部の高句麗への侵略を狙う超大国・隋と堂々としてわたりあっていた。聖徳太子は第32代用明天皇(585-587年)の第2子であり、第33代推古天皇(592-628年)により皇太子として立てられたお方である。

女性天皇と女系天皇の違いが分からぬ一般庶民、特に女性や、万世一系の天皇を重んじない自虐・偏向思想の学者たちが、天皇になられる方の子供が女子であった場合、その女子がまた天皇になってもよいと考えている。しかし推古天皇は女性天皇であって女系天皇ではない。推古天皇の後はまた第30代敏達天皇の孫息子・第34代舒明天皇になっている。天皇家は男系で継いできた世界に例がない最長の歴史をもっている。日本人の誇りである。

中国は皇帝が漢族だけでも続かなかった。それも万世一系ではなかった。さらに皇帝は蒙古族であったり(元王朝)、満州から朝鮮半島北部を支配したツングース系の満州族であったり(清王朝)であったりしている。そこで中国は歴史の古さだけを誇らざるを得ない。

中国は漢族を中心として、チワン族、回族、ウイグル族、モンゴル族、満州族、朝鮮族など55種に及ぶ多民族国家である。朝鮮半島も支配していた清王朝のとき大陸はイギリスによって麻薬アヘンが持ち込まれ、フランス、ドイツ、ロシアなど列強の餌食になっていた。朝鮮半島も同様の状況になりかねなかった。日清戦争の後、清はそれまで1500年間にわたり続けられてきた官僚の登用制度である科挙制度を廃止し、多数の留学生を日本に送り込み、近代化をはかり、今世紀に入り中華人民共和国という統一された国になった。

現代の中国で使われている用語に、「帰納法」、「演繹法」、「哲学」、「真理」、「命題」、「心理」、「物理」、「消費」、「地質学」、「植物学」、「動物学」等々の漢字の新造語があるが、これは清王朝が明治時代日本に派遣した中国の留学生によって持ち帰られたものである。これらは西周 (にし あまね、文政12年(1829年)-明治30年(1897年)が西洋哲学の翻訳・指導を通じて創った新造漢語である。このことを知らない日本人が余りにも多い。

今、日本と中国は貿易・経済・文化の面で切っても切れない非常に密接な関係にある。21世紀に入り、日中両国間の密接な協調がますます必要になってきている。一方で、中国は核兵器を所持し、アメリカに対抗して軍拡を進めている。日本と中国の間には軍備の競争が生じている。軍備だけではなく、科学技術を含むあらゆる分野で競争が生じている。

我が国の国民が、自らの歴史を良く知り、自らの国の優れている点をよく知り、中国に畏敬される競争力を持つならば、中国は尖閣諸島の領有権や黄海での油田開発等で我が国を侮ることはない。腰に大刀を差し、剣術の心得がある者を侮らないことと同じである。