2010年12月20日月曜日

エレベーターのメンテナンス(20101220)


  男が住むマンションは築25年である。鉄筋コンクリート7階建て28戸の小さなマンションで、裏に12台分の駐車場がある。その外側は川の堤防があり、その堤防の上を歩く人たちはこのこじんまりとした小さなマンションの様子を観る見ることが出来る。

  以前防犯上の問題が何度かあった。そこでこのマンションでは防犯カメラを設置し、不正な侵入者を監視出来るようにした。その後そのような防犯上の問題は聞かなくなった。

  28戸と言ってもそのうちの2戸は近くにある自動車関連部品を作る会社の寮であり、3戸はオーナーが別のところに住んでいる賃貸入居者である。区分所有法により住宅管理組合があるが、オーナー入居者が少ないため1年交代の組合の役員はすぐ回ってくる。男も再来年には入居以来3度目の役員にならなければならない。

  小さいマンションなので住民のまとまりは非常に良い。7階までエレベータで上がることが出来、高齢者にとって楽である。管理組合では一階には車いすのための簡単なスロープや玄関入口には手すりも取り付けた。交通や買い物が非常に便利であり、建物の日当たりは非常に良い。しかも川のすぐそばにあるので、ウオーキングにも好都合である。

  このマンションでは今の時代としては古い形式になってしまったエレベータをメンテナンスしながら大事に使っている。ところが、最近このエレベーターのレベルを自動的に調整するシステムの不具合で、気温が下がった深夜から明け方にかけていびきのような洗濯機が回っているような音が発生し、コンクリートを通じて全戸に伝わるという問題が発生した。初めは水道の給排水システムのバルブか何かの振動音ではないかとか、家庭でパンを作る機械が自動的に動く時発生する音でないかとか、あるいはこの川に沿って設置された直系9メートルの防災用一時貯排水システムからの音ではないかなどといろいろ詮索された。しかし、深夜エレベータを停止してみて、原因はエレベータを油圧で上下レベルを調整するシステムの不具合であることが判った。

  機械室にそのシステムの心臓部がある。そこに油のタンクがあり、温度センサーが油の中に置かれている。気温が下がり油圧ポンプに送る油の量が減ると自動的にタンクから油が供給される仕組みである。問題は自動制御システムの心臓部のメンテナンスが不十分であったことである。マンションではエレベータの維持のため管理費を多く使っている。本来ならば管理会社は油圧装置の自動制御システムに関心があるべきである。住民はプロフェッショナルに期待して料金を払っている。問題の原因を住民から指摘されるまでもなく、問題が起きたらする対処できるようなノウハウを持っているべきである。

    男は多少工学的な知識や経験があったので、問題の原因を直感していた。結果直感のとおりであった。問題の原因を調べに来た管理会社や下請けのエレベータをメンテナンスする会社の担当者に要求して油圧システムの心臓部を見せて貰い、タンクの中も見て温度センサーの形やそれが置かれている状況を把握した。

    男は管理会社の上役らしい人物に「ノウハウは集めて整理し、業務引き継ぎのときに後任者によく説明されるようにすべきである。」とプロフェッショナルであるための仕事の仕方を教えてやった。今時の者はその苦言を真摯に受け止めたかどうか分からないが・・。