2010年12月31日金曜日

外交と防衛(20101231)

  老人は新幹線の中で『大東亜解放戦争』(岩間弘著、創英出版)を読んだ。この本は、現政権の首脳やスタッフ、外交・防衛関係の大臣やスタッフたちに是非読んでもらいたい本である。

と言うのは、外務大臣になることを希望していると噂される鳩山元首相やその取り巻きや、鳩山氏に影響を与えたとされる寺島実郎氏などは「冷戦時代の安保体制からの脱却」という切り口だけを金科玉条のように主張するが、それでは対ロシア、対北朝鮮、対中国外交戦略については、「軍事力は外交の非常に重要な手段である」という視点を持っていないように老人には思えるからである。

  新幹線の中に「ご自由にお持ち帰り下さい」と注記のある『WEDGE 2011 1』号が各座席に置かれている。それを読むと次のような記事が目にとまった。谷内正太郎氏・早稲田大学教授・元外務次官)が寄港した『TPP参加は「強い安保」「強い経済」への分水嶺』と題する記事である。

  「2020年頃には、中国軍の総合的能力は、米国を除けば、東アジア随一のものとなるであろう。これに対抗できる勢力は、米国の太平洋防衛網しかない。・・(中略)・・仮に、大きな紛争になれば、米国は、同盟国である欧州主要国にも援軍の要請が出来る。・・(中略)・・軍事的実態を見れば、東アジアが、北米や欧州と切り離されて、米欧に対抗する独自の国際政治の場を構成するという考えが、いかに幻想的かよくわかるであろう。また、東アジアにおいて、日本が、中国やロシアを押さえて、他のアジアの国々を従えてリーダーシップをとる、或いは、日本が、米国と中国やロシアの間を仲介するという議論が、どれだけ現実離れしているか分かるであろう。・・(中略)・・環太平洋自由貿易構想を、戦略的観点から眺めれば、日本が飛び終えるべきバスであることは自明であろう。・・(中略)・・閉塞感に鎖され、内向き、縮み志向に陥った日本はこの痛みを覚悟し、敢えて突破口を開いて局面を打開する強力なリーダーシップが必要である。菅直人総理は「歴史の分水嶺」という言葉をよく使う。分水嶺では、正しい方に滑っていかなければならない。(後略)」

  日本国憲法前文にあるような「公正と信義」は、中国にもロシアにも北朝鮮にも、また韓国さえにも「ない!」。「友愛の海」はない。日本は近現代の歴史に鑑み、冷徹な目でこれら「特殊な」国々と対峙しなければならない。ドイツがやったように、アメリカの「核のボタン」も、一朝有事の際には日米共同で押すということを日本は決意し、そのことを彼の国々の政府関係者に分からせなければならない。

  そういう意味で日本を過った方向に導くことになる鳩山氏や小沢氏は、考え方を改めるまで「黙って」いて貰わねばならぬ。マスコミもいつも同じ顔ぶれの論者だけではなく、谷内氏のように「正論」を唱える方々をテレビに出てもらうようにすべきである。

  冒頭に示した本には、「東京大学等出身の左翼、共産主義の学者や政治家が、文部科学省はじめ、多くの官庁に多数いて、日本を左へ、左へと向かわせ、最終目標を天皇制の廃止、打倒に向けている」と書かれている。この本で日本とロシアや中国や朝鮮との間の歴史を正しく紹介している。これについて今後このブログで書き留めておきたい。