2011年1月27日木曜日

武士道(続)(20110127)

 新渡戸稲造は、「第一章武士道とは何か」の中で、初めにこう述べている。「武士道は、日本の象徴である桜花にまさるとも劣らない、日本の土壌に固有の華である。」「武士道をはぐくみ、育てた、社会的条件が消え失せて久しい。かつては実在し、現在の瞬間に消失してしまっている。はるか彼方の星のように、武士道はなおわれわれの頭上に光を注ぎつづけている。」

 そう、その通りである!武士道はなおわれわれの頭上に光を注ぎつづけているのである。われわれ日本人がそのことに気づこうと気づくまいと、である。

 人は、「武士道は武士だけのものではないか、われわれ百姓・町人の子孫には関係ない」と言うだろう。だが待ってほしい。我々日本人の殆どすべての人々は、誰でも多かれ少なかれ武士の血が混じっている。勿論、遠い先祖を辿れば、天皇や豪族の血も混じっている。日本人は皆、「同胞(はらから)」である。つまり、血を分けた兄弟・姉妹なのである。そのことは後に説明する。

明治天皇は、日清戦争が起きようとするときこう詠まれた。この明治天皇御製の短歌を、昭和天皇は昭和16年(1941年)96日の御前会議の最後に詠まれ、重臣たちに戦争を回避するよう求められた。

よもの(四方)の海 みなはらから(同胞)と思ふ世に など(何故)波風の たちさわぐ(立ち騒ぐ)らむ

天皇陛下は、人類は皆兄弟姉妹であると考えておられたのである。戦前まで日本人の精神の支えとなった『教育勅語』の一節に「博愛衆ニ及ホシ」という語がある。

天皇陛下は皇居において定日定刻に、宮中三殿に並ぶ神嘉殿前庭の屋根だけの東屋風の簡素な建物の下で皇室の祖先神が祭られている伊勢神宮に遥拝し、国の安泰と国民の幸福、農作物の豊作などを祈り四方拝を行っておられる。祈りは年30回に及ぶという。天皇陛下は日本国の安泰と日本国民の幸福を祈って下さっているのである。

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