2011年8月13日土曜日

福島第一原発事故を考える (20110813)

 書店に立ち寄ったら目に止まったのが週刊文春臨時増刊号「東京電力の大罪」である。表紙の下部に“週刊文春」取材スタッフが総力で暴いた”“「黒い独占企業」東京電力の正体”とサブタイトルが書かれており、「完全保存版」という赤字の表示がある。

 私はしばらくこの本を立ち読みしていたが、後世のためにやはり買っておくことにした。今この本を私の哲学的思索のテーマである「自存」の観点で読みながら、目に止まった幾つかの記事をここに引用メモしておく。私はこの本を斜め読みするうちに、この本で明らかにされていることは、今後事故調査委員会でもチェックポイントになると思った。

  “「三号機か四号機のどちらかでプールから水が外に出たと聞きました。プールの水は、原発の中でも特に線量が強くて危険なのです。だから、『ダイバー』と呼ばれるプール内での点検作業員は、みな外国人・・(以下略)」(Aさん)”

  “小誌は、事故当日に福島第一原発で作業していた男性から、重要な証言を得ている。「あの日、俺は四号機の仕事をしていた。地震で逃げ出すとき、歩きながら一号機を見たら、原子炉建屋の壁にヒビが入っていた。見上げてよく見ると、天井に近い側面の壁が崩れ落ちていたんだ。四十年も使って寿命だったんだよ。水素爆発ではなく、地震で既に壊れていたんだ。」”

   “今年、実は東電は保守点検を実施していないとして、経済産業省の原子力安全・保安院より行政処分を受けていたのだ。まず、今回爆発した福島原発の一号機は、三十三の機器が点検を怠っていた。最長で十一年も点検をしていない機器もあったという。”

  “一方、東京・内幸町の東電本社には役員たちが集まり、ある議論が始まっていた。一刻も早い冷却のために当然考えなければならない海水の注入。しかし、「純水、淡水の注入で何とかならないか」という声が湧きあがったのだ。”
  “前出の東電関係者が話す。「正直、海水を注入するなど頭にはなかった。水素爆発も予想していませんでした。・・(後略)・・」”

  “当初、東電と保安院は、首相官邸に「問題はありません」と報告、しかし、「官邸で斑目春樹・原子力安全委員長が『水素爆発の可能性はあるけれど、問題はありません』と説明したのです。菅首相は『爆発があったら、まずいじゃないか』と怒り出した。”

  “案の定、翌日、一号機が爆発するのですが、その前に東電として逡巡があった。「原子炉格納容器の圧力弁を開けて圧力を下げること(ベント)を考えましたが、弁を開けると放射性物質が漏れる可能性がある。」(同前)”

  “迷っている間に、放射性物質漏れも爆発も起きて、作業が一層困難になった。すべてが裏目に出たのだ。”

  “爆発したのは、正確には午後三時三十六分。ところが――。(経産省の役人から渡された)メモを見た後に、菅首相は『放射能漏れはない』と断言している。・・(中略)・・(枝野長官が)爆発の内容を発表したのも、一報から二時間後。これは情報コントロール・・”