2011年8月1日月曜日

日露戦争前哨戦(補記) (20110801)

情勢は緊迫し、23日、旅順港にいたレトウイザン、ポベーダなどロシアの軍艦14隻は出港し、行方不明となった。同時に、ウラジオストックに戒厳令が敷かれ、ロシアの要塞司令官の通告により在留日本人は退去準備を始めた。24日午後、御前会議が開催され、開戦が決定され、25日午後日本の小村外相からロシアのラムスドルフ外相への通告により日露間の国交が断絶された。(秋山氏論文引用)

ロシアは「日本側からの戦争仕掛け」を待つ態勢(ニコライ二世の訓電「我が方からではなく、日本軍の方から戦闘を開始することが望ましい。」)であった。仁川港でロシアの巡洋艦「ワリヤーグ」(6500トン)及び航洋砲艦「コレーエツ」(1213トン)の間に係留していた日本の巡洋艦「千代田」(2439トン)が、夜陰に乗じて密かに出港したとき、ワリヤーグの艦長ルードネフ大佐はその動きを知っていたが知らぬふりをしていた。

日本に対するロシア鷹揚な態度、日本の力を見くびっていた態度が、結果的にロシアの敗北になった。中国に対し日本は鷹揚な態度、中国の力をみくびっている態度を示していないか?19世紀末、20世紀初めの頃の中国、そしてその中国の支配下にあった朝鮮は日本に比べ何十年も近代化が遅れた。その結果中国は列強の餌食になった。日清戦争の結果、台湾は日本に取られた。気が付けば中国は日本列島・台湾・フィリッピンの列島線に囲まれ、外洋への出口を塞がれてしまった。「4千年の歴史」の誇りがある中国の立場になれば、これはきっと悔しいことであるに違いない。

それでも中国共産党は何十年先、百年先を見通して、「中国が世界の中心」であるという「中華思想」のもと、超長期的な構想に基づく計画を着々と進めている。そのような中国に対して、日本は独立の維持及び万世一系の皇統を維持する超長期的な戦略はあるのだろうか?日本はただ平和と安全と繁栄の維持だけに心を奪われてはいないだろうか?

日本は、憲法前文にあるように「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの独立と安全を保持」できるのか?中国は「公正」か?中国に「信義」はあるか?中国は新幹線を純国産と宣伝し、特許まで取ろうとし、おまけに故障したとき「日本の新幹線も故障はよくある」と公言する。中国に「公正」も「信義」もない。あるのはただ「動物的」な「自存」意欲だけである。自分たちの行動を誤った歴史観で正当化している。教養の高い中国人は自国民のそういった状況を嘆いているに違いない。庶民レベルの中国人とお互いは人間同士として親しみ合える。それが国家レベルになると動物的となる。その心情の根底には国家として「生き残る」という「自存」の願望があるのである。

そのような動物的な心情に対抗するには、「武力」しかない。動物は強い相手に対しては決して無茶なことはしない。街のチンピラでも同じである。強い相手には手を出さない。日本は、中国の「自存」願望を理解し、その「自存」願望を戦争によらずとも叶えられるように可能な範囲内で手助けしやることも真剣に考えなければならない。その一方で、中国の「武力」に勝る圧倒的「武力」を集団的自衛力として保持しなければならない。(続く)

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