2011年8月21日日曜日

体内遺伝子と体外遺伝子(20110821)

 体内遺伝子はDNAである。これに母親からしか伝わらないミトコンドリアDNAと父親からしか伝わらないY染色体DNAがある。母系社会だと母親から娘や息子へと代々一人の母親の遺伝子が伝えられてゆく。一方父親のY染色体遺伝子は息子にしか伝えられない。

 小泉首相のとき、女系天皇を容認する動きがあった。女性天皇と女系天皇とは意味が全く違う。過去に何人かの女性天皇がいた。しかしその後は神武天皇以来男系の子孫が天皇になっているので、神武天皇のY染色体遺伝子は今上天皇にも伝えられている。もし、女系天皇を容認すると、美智子皇后陛下のミトコンドリア遺伝子が愛子様に伝えられているが、将来愛子様が生んだ御子には神武天皇のY染色体遺伝子は伝わらない。つまりそこで神武天皇以来の皇統は途絶え、以後は美智子皇后陛下の遺伝子が伝わるということになる。

 野生動物の世界で雄同士が雌を巡って争い、争いに勝った者にのみが子孫を残すことができるのは理にかなっている。末裔まで繁栄させるにはそれが一番いい方法であるのだ。

 体内遺伝子はそういう概念で考えるべきである。自分の家の先祖を祀るというその先祖はその祖が母親である場合でも、その祖とともに男系を辿り男系の祖を祀ることも併せ重要である。日本人は祖霊を敬ってきた。このことは大変重要である。

 天皇家の祖・天照大神は女性であった。その夫・素戔嗚尊は天照大神の弟であり、天照大神と素戔嗚尊の二人は、伊邪那岐命と伊邪那美命の間にできた三人の御子の中の姉と弟である。以来男系でつなぎ、天皇として神倭伊波禮毘古命が初代天皇・神武天皇となっている。日本人は天照大神も素戔嗚尊も祖霊として祀っている。京都の八坂神社が素戔嗚尊を祀る総本社である。全国神社の本宗・伊勢神宮は天照大神を祀っている。

 このような神道は日本にしか存在していない。仏教とともに神道は日本の精神文化の柱である。私はこれを日本人の「体外遺伝子」と言う。実際の遺伝子(DNA)には数えきれないほどの情報が込められている。一方、「体外遺伝子」には「武士道」という精神文化、天皇を中心とした国体、茶道・華道・香道などと言った日本独特の「道」文化、御神輿を出して行う祭り、地方独特の祭りなどの伝統文化、文書に記述しきれない、ある意味でソフトウエアがある。これもまた数えきれないほどである。

 日本人の血には日本にしか居なかった縄文人の血、北方漢族に圧迫された長江流域の民の血、近年は国際結婚による様々な血が混じっている。これが日本人のDNAを形成している。このことは日本独自のものであって、漢族が大多数である中国、高麗・新羅・夫余等古代ツングース系諸民族が支配していた韓国・北朝鮮とは違うのである。

 この日本には後漢滅亡時に支配者の漢族系の人々がこの日本に渡ってきて帰化しているし、百済滅亡時以降ツングース族系の人々が日本に渡ってきて帰化している。戦後特に白人系や黒人系の血も多く入ってきているし、在日の人々の日本帰化によりツングース系を含むいろいろな血が入ってきている。日本人の血の基底には縄文人の血があるが、その後雑多な血が混じり合って今日の日本人を形成している。          (続く)