2011年8月27日土曜日

国家なき市民主義の限界(20110827)
 表題は、814日付読売新聞「地球を読む」欄に寄稿された中曽根康弘元首相の記事のタイトルである。一部を括弧(“”)で引用する。
 “菅政権を一言で表せば「過去も未来もない政権」だったと言えよう。菅首相の唱える「市民主義」とは、私たちの周辺にある市民生活を中心にした政権構想で、歴史や文化の伝統を背負った過去や、目標や理想を持った未来への挑戦に欠けた政治思想である。
 この「市民主義」なるものは、ややもすれば選挙目当ての狭小で迎合的な主張が主となり、国としての歴史や、文化との連続性がないという弱点がある。
 「連続性」とは過去と未来のあいだに立ち、歴史と文化の裏づけとともに、いかにこの国の未来を切り開くかということであり、保守政治はそこにもっとも心を砕かねばならない。”
 “外交と安全保障政策について、民主党政権、菅内閣は確たる成果をあげていない。国としての歴史や文化を背負う気概も見えぬ。”
 “日本首相の内政外交における毅然たる信念と強さ、かりそめにも主権侵害を許さないという愛国心の強烈さ、国民の首相に対する信頼度が外国の対日政策決定の基本にある事を忘れてはならない。”
 “国務を担当する政治家の主張が市民生活にのみ焦点を当て、背後にある国家や国民を蔑ろにしては本務に反する。”
 私は、中曽根元首相は民主党及び菅直人氏に対して、本当によい指摘・批判をして下さったと思っている。この国をめちゃめちゃにしてしまった民主党のリーダーたち、戦後生まれの鳩山由紀夫氏・小沢一郎氏・菅直人氏のお三方には、是非中曽根元首相のこの寄稿記事を読んで頂きたいと思う。このお三方に共通しているのは中曽根元首相が言うように、「選挙目当ての狭小で迎合的な主張」「愛国心の薄弱さ」であると私は思っている。
 人はDNAによってその容貌・体つき・知能・性格等が決まる。DNAは生まれつきのものである。一方、人は生後の生活の仕方により、いろいろな思想・信条を持つようになる。これはDNAと違い、社会環境の変化により変わるものである。人の思想・信条を固めるものは歴史や精神文化や伝統などである。人のDNA,を「体内遺伝子」とすれば、出自・先祖・家庭環境・家庭教育・学校教育・社会生活・交友関係・歴史・精神文化・伝統などは「体外遺伝子」に相当する。
 鳩山由紀夫氏・小沢一郎氏・菅直人氏のお三方は、それぞれの「体内遺伝子」のほか、それぞれの出自・家庭環境・家庭教育など「体外遺伝子」がある。その「体外遺伝子」の部分が、中曽根元首相が言う「選挙目当ての狭小で迎合的な主張」「愛国心の薄弱さ」に影響を及ぼしている。勿論お三方は、「失礼だ」と怒るだろう。しかし、お三方のそれぞれの発言や行動は、天皇を崇敬し、日本の歴史・文化・伝統を大事にし、国旗・国歌を大切に思い、靖国神社に参拝し、強烈な愛国心をもつ人々が容認できるものではない。