2011年8月19日金曜日

日本と中国・韓国・北朝鮮の間の深い溝はなぜあるのか(続き)(20110819)

 このブログ「仏教と科学の接点を考える(続き)(20100814) で書いたが、日韓両国で双方の意識調査を行った結果、日本人の65%が韓国に好意を持っているのに対して、韓国人は27%しか日本に好意を抱いていないという。鬱陵島訪問を試みた自民党議員団が韓国で入国を拒否されたのは国際慣例に反する行為である。それもこの世論調査結果からわかる。

 なぜ、韓国人は日本が嫌いか?私はその原因を韓国では朝鮮出兵した豊臣秀吉や、李氏朝鮮から朝鮮の民を近代化に向かわせた日本という国(その象徴的な人物として伊藤博文)に対する反感があるからであろう。反感の裏返しに1393年以降続いた李氏朝鮮時代の一般庶民の不幸せと、今の劣等感を忘却したいという願望があるのだろうと思っている。

 私は、「克日」願望は韓国の人たちの心の深奥で、自分自身を自覚するため無意識的に抱いている願望ではないかと思っている。日本人はある意味で特殊な「雑種」である。この「雑種」は日本以外にはきわめて少ない縄文人特有の遺伝子が基礎を成している。発掘された人骨や釣り針の特徴などから、ミトコンドリアDNAタイプM7a及びタイプN9bの縄文人縄文人が、日本列島以外に当時朝鮮半島南部にも居たと考えられている。しかし彼らは渡来系弥生人の集団の一部として日本に移住したようである。これらの話はNewton『日本人の起源』に図解入りで書かれている。

 渡来系弥生人たちのルーツはもともとシベリアの寒冷地に適応していた人たちで、南下して中国の広い範囲に広がっていたという。そのうち長江中・下流域に住んでいた集団が、後に漢人となった人たちによって圧迫を受けたり交雑したりして一部が北上し朝鮮半島を経て北九州にやってきたり、造船・航海の技術により長江下流から海を越えて台湾・沖縄を経て鹿児島の笠沙や島根の出雲・淀江などを経て日本列島各地に広がり、縄文人たちと交雑しながら今の日本人の原型になっていったのであろう。環境考古学者・安田喜憲氏が書いた『古代日本のルーツ 長江文明の謎』(青春出版社)にそのことが書かれている。

 一方、韓国人のルーツは主に女真族(ツングース)である。その他漢族、モンゴル族の血も交じっている。ほんのわずかであると思うが豊臣秀吉軍に従って朝鮮に渡りその地で住み着いた日本人の末裔もいるようである。男系でつながるY遺伝子で見た場合、韓国・北朝鮮の人たちは、日本人に特有のD2という遺伝子を殆ど持っていないという。

 半島南部は倭人に支配されていた時期もあり、4世紀に倭人たちは鴨緑江まで攻め上がろうとし、高麗の支配者・好太王(韓国では広開土王または広開土大王とも呼ばれる)から撃退されている。その史実が鴨緑江中流北岸の中国吉林省にある広開土王碑に書かれている。この古代高麗も1392年に建国以来続いた李氏朝鮮も後に女真族と呼ばれるツングース系の民が主流をなす国である。

 私は、民族紛争と言うのはDNAの違いに起因するものであると思っている。元を辿れば同じ母に行きつくが、代が変わるたびに遺伝子の違い生じる。そのため動物たちの縄張りを巡る争いのように、遺伝子の違いが民族間の争いを起こすのだと思う。