2011年12月8日木曜日

渡部昇一『日本史』を読んで日本人はどうあるべきか考える(98) (20111208)

 “ロシアにはナポレオン戦争でナポレオンを裸にして追い返した陸軍があり、イギリスに次ぐ大艦隊を持つ海軍があった。ロシア海軍は当時、バルチック艦隊、黒海艦隊、太平洋艦隊と三つの艦隊を持ち、アジアでは旅順およびウラジオストックに港を構えていた。

 このような大ロシアと戦って、誰も日本が勝てるとは思わなかったであろう。ところが、ご存じのように、日本は陸上戦で百戦百勝、海上では、黄海の海戦、蔚山(うるさん)沖の海戦、それから日本海大海戦でロシア艦隊を撃滅した。この戦争の結果は、世界の軍事史にも巨大なる影響を及ぼしたのである。

 というのは、ナポレオン戦争のときに最も恐れられたのはコザック騎兵隊であった。コザック騎兵隊に比べれば日本の騎兵隊はとるに足らなかった。江戸時代、日本では馬に乗った戦争がなかったため、馬は全く改良されておらず、明治初年に日本に来た外国人たちは、日本の小さな馬を見て進化論の証明になったと喜んだというぐらいのものであった。そのため日本は、戦争に備えて馬を輸入して育成していたのである。その日本が完全にコザック騎兵隊を押しとどめて、しかも陸上で白人に勝ちまくったのだから驚きである。

 これには秋山好古(あきやまよしふる)という天才が大きな役割を果たした。絶対に勝ち目のない日本の騎兵がなぜ勝ち得たか。これは日本軍が騎兵を歩兵として使うことを覚えたからなのだが、簡単にいえば、秋山好古は騎兵に機関銃を持たせたのである。機関銃を持った騎兵にとって、コザックは恐れるに足らなかった。いざとなれば馬からおりて機関銃で応戦し、向かってくるコザック兵たちをなぎ倒したのである。

 そしてまた、騎兵の強みである機動性を使って満州の大草原を駆けめぐり、敵の背後に向かってシベリア鉄道を脅かした。シベリア鉄道が破壊されることはロシアにとって補給線を絶たれることになることで、死活問題である。大軍であればあるほど、補給線の確保は重大な問題で、ロシアは非常に神経質になった。このようにして、秋山の「コロンブスの卵」のような発想で、騎兵隊は世界最強のコザックを打ち破ったのである。”(以上、渡部昇一『決定版 日本史』より引用。)

 NHKのドラマで『坂の上の雲』が3年がかりで創られ、今年はその第三回目である。NHKは史実にかなり忠実にドラマを創っているように思われる。勿論ドラマであるから創作部分は多い。断片的史実の他はすべて創作であるといってよいほどである。

 一方、韓国では歴史よりも物語を大事にしている。韓国人は物語がいつのまにか史実になるように思い込んでいるように見える。例えば「竹島は韓国領」という物語を創り世界中(国際裁判所があるスイスのジュネーヴを除く)に宣伝しまくっている。剣道も茶道も、また禅すらも韓国に起源があるという物語を創り、世界中に宣伝しまくっている。韓国人の中の良識派は自国民がそのような振る舞いをしていることに眉をひそめているに違いない(と思いたい)。いずれにせよ、韓国という「国の性格」はそのような韓国人によって形成されている。人でも国でも「性格」は生涯変わらない。しかし「行動」は自分(自国)に利益をもたらす方向に変わる。                  (続く)

0 件のコメント: