福島原発で働いているある技術者の肉声(20111226)
これは、福島原発で働いているある技術者の肉声である。でいるだけ多くの方々に福島原発事故発生以来、現場で人知れず奮闘している方々の苦悩を是非分かち合って欲しいと思うから、ご本人のご了解を得て、名前を伏せてここに載せさせて頂くものである。
“彼処には毎日二千〜三千名の方々が作業をしています。私なんか数日間のその中の一人に過ぎません。長期間連続には居られないのです。”
“敷地内で最も線量が低いと思われる、ヘパフィルター換気された免震棟内でも20μSv/h程度は有ると思います。1時間の値ですから9ヶ月で129600μSv/h=130mSv/h。
(吉田)所長さんがそこだけに居たとは考えられませんので、その数倍以上の被ばくをされておられるかと思います。明らかに白血球減少等が現れる数値です。内部被ばくも考慮すればどの位の値か想像するしかないです。半減期45億年のウラン138などが飛び散ってる状況では簡単に処理できる訳が無く、工程表の30年が実現するかは不明です。そんな方々のエンドレスな努力が続いている事を知っていただきたいと思います。”
“放射線で飯食って30年以上、あの日の夕方、メルトダウンは避けられないと確信しました。600km離れて住んでいますが、家族をどう逃がそうか真剣に考えた。核分裂現象を少し勉強した者なら、どんな方法でも冷やす以外に方法が無い事くらいは解ります。
海水注入を躊躇したのは再使用の欲が東電にも政府にもあったからです。来月に再度、福島第一へ支援に行きます。数百mSv/h超の世界。何十Bqで心配されてる方々には理解不能な場所です。多分生きてる限り何十年かは毎年何回か行く事になると思います。
日本にはそう沢山は放射線作業従事者は居ませんから我々で何とかするしかない。致命的な事故が起き収束には程遠い現状で責任逃れなどしている暇は無いです。日本を終わらせる訳にはいきませんから。”
“国民が被災地や被災されて喰うに困ってる状況を想像し続けてくれるだけでも大きな力になると思います。今日もようやく復興した石巻の逸品「白謙蒲鉾」で一杯飲んでとっても幸せです。インフラは回復しています。温泉へ行くも良し、美味い物食って来るも良し、物見遊山で結構。行けば支援になりますよ。
自衛隊はじめ自治体の努力でかなり瓦礫は片付けましたが、その目で被災地の状況を一目見に行く事が最重要だと思います。テレビで見てもけして本質は判らない。4月に行った時はご遺体の検死作業を支援しました。爺ちゃん、婆ちゃんと乳飲み子ばかり。自衛隊の皆さんが大事に助け出した後の処理。警察もボランティアの我々も誰かがやらなければならない事を淡々とやったのみです。これが日本人の凄さだと実感いたしました。日本人しか出来ないと思います。また日本人なら必ず出来るとも思いました。”
“あくまで私如きの宣伝ではありません。今も日本の明日を背負って、損得抜き、私事を捨て頑張っている皆さんを忘れずに応援していただきたいと願うばかりです。宜しくお願いいたします。私達の業界は年寄り総動員です。他の職種の方々も同じ思いです。”
上記原子力発電関係技術者の肉声を聞いて男は涙が出た。感動した。だからご本人に断ってここにその一部を掲載するものである。