2012年7月8日日曜日


北方領土と沖縄とは性質が異なる(20120708)

 シナ(中国)も台湾も尖閣列島は自国の領土であると主張している。この主張が始ったのはまずシナ(中国)が1970年代に共産党の綱領に基づく「第一列島線内」の「核心的利益」の確保のためである。シナ(中国)は「核心的利益の確保」と格好の良いことを言うが、それは、194589日のソ連の行動のように隣家に強盗に入るようなものである。シナ(中国)は尖閣列島だけではなく、沖縄列島・八重山列島・奄美列島の領有を狙っている。台湾はシナ(中国)が尖閣列島の領有を始めた後、シナ(中国)の工作に乗った組織が動いているのかどうか、シナ(中国)と同じように尖閣列島を自分たちの領土であると言い始めた。シナ(中国)もロシア同様、老獪で狡猾である。刑死前東條元首相が遺した言葉にあるように、「国家は利己的」である。人の良い日本人は彼らの国家に騙されてはならない。勿論、個々のシナ(中国)人もロシア人も良い人たちばかりである。「国家」となると利己的に、野獣のようになるのである。

 なお「中国」という国名は、国際的にその用語をつかっているのは日本だけである。シナ(中国)の国家が、自国のことを「中華」、即ち「世界の中心の国」でると言い、日本政府がそれを認めているだけである。国際共通語はChinaチャイナ(シナ)である。そういうと、「日本」は「日出る本」じゃないか、と言われるかもしれない。しかし国際的には日本はJapanジャパンである。「Nipponにっぽん」も通用するが・・。

 表題は、『占領憲法下の日本』に書かれているタイトルの一つである。以下“”で引用する。“この北方領土問題と、沖縄返還問題とを対等にならべて論議する人が社会党や共産党の中にはあるが、全然、その性質が異なるのである。北方領土は、ソ連が一方的に国際条約を破って強盗的に侵入してきて奪ったわけで、日本はただ、強盗に対して無抵抗に手を上げただけであって、日本はソ連と戦争をしたわけではないのである。

 だから南樺太(からふと)、エトロフ、クナシリ、ハボマイ、シコタンは戦利品というわけでもなく、戦争後の平和条約で、戦争に敗(ま)けた国が勝った国に賠償として割譲した領土でもないのであり、単に強盗が強奪した領土なのである。

 ところが沖縄は、実際に日本がアメリカに対して宣戦布告をしハワイの真珠湾に先制攻撃を加え、アメリカに非常な損害を与えて、ついに日本は敗(やぶ)れた結果、戦勝国なる期間アメリカが東洋の安定を得る必要なる拠点として、日本に領土の潜在的主権をみとめながら、必要なる期間、施政権を・・(中略)・・アメリカは日本が戦争中に彼に与えたる損害に対して賠償金ひとつ要求しないで、旧敵国に対して寛容なるガリオア資金という名で食糧を供給し、・・(中略)・・「アメリカは侵略国であり、ソ連は平和勢力であるから、日米安保条約を解消して、アメリカに帰って貰い、ソ連と中立条約を結んだら、日本は戦争に巻き込まれる恐れがないから、その方がよい」というに至っては、恩を受けた者を放逐(ほうちく)して、強盗を招いて饗宴(きょうえん)を開くにも似た、正邪を逆転し、恩讐(おんしゅう)を顛倒(てんどう)したところのおどろくべき判断力の欠如だというほかはないのである。”

 谷口師は、アメリカの恩を強調し、ソ連(ロシア)の悪辣さを非難している。男はアメリカが戦後日本の復興に努力したのは、アメリカが戦前から日本を評価し、日本が表向き降伏した裏には日本がアメリカに降参したということを理解し、また戦後の極東地域において日本の力を必要としたからだと考える。降伏でなく降参であったから、日本はアメリカに従順になり、国体を維持しつつアメリカの良いところを必死に学んだのである。

 日本がアメリカに降参をするに至ったのは、東京など各都市に無差別絨毯爆撃を受け、広島・長崎に原爆を落とされ、一挙に何十万人という‘虐殺’に等しい損害を受け、最早これまでとなったためである。それでも軍人たちは日本の国体を守り、大東亜の解放という正義を貫くため、最後の最期まで戦い抜いた。銃後の女子供・年寄りたちも同じであった。天皇陛下のお言葉でその悲惨な戦いの幕を引いたのである。

 ところが日本はソ連(ロシア)に降伏も降参もしていない。ここのところを今を生きる日本人は良く認識すべきである。老獪狡猾なソ連(ロシア)は、時間を稼ぎ日本人の意識が次第にソ連(ロシア)側に好都合になるように強硬・柔軟あらゆる方策を講じてきた。その戦術はソ連崩壊後ロシアに引き継がれ、プーチン大統領は「引き分け」で幕を引こうとしている。

 北方領土には、ソ連(ロシア)はインフラ整備をし、多くのロシア人が住みついている。その子供たちの故郷はわが北方領土になっている。この間日本はソ連(ロシア)との問題解決ができなかった。いまさら北方領土からロシア人に出て行ってもらうこともできない。この北方領土問題の解決には智慧が必要である。一つの智慧は、①北方領土の経緯を日露双方で確認し合うこと、②北方領土に居住しているロシア人たちの不安を解消する方策を講じること、である。其処に「引き分け」に至る最善の解決策が必ず見出されるであろう。