2012年7月15日日曜日


スローガン「国民の生活が第一」を批判する(20120715)

 元代表小沢一郎氏は、彼が中心になって作った民主党のマニフェストに掲げていた「国民の生活が第一」の理念が失われてしまったとして民主党を離党し、同志49人でこのスローガンを掲げる政党を立ち上げ、解散総選挙に向けて国民に“増税前にやるべきこととして、東日本大震災の被災地を始めとする地方の復興と生活再建、地域主権確立のための行財政改革、スケジュール感を持ったデフレ経済対策を提示するとしたほか、新たなエネルギーの開発に努め、脱原発の方向性を鮮明”にアッピールした。

 ここに幾つかの問題点がある。先ず、そもそも民主党発足当時からの理念とマニフェストが間違っているのであるが、国を運営する政党として、国家観が全く欠如していることである。「国民の生活が第一」も「地域主権」も市民が第一であって国家は二の次である。
其処には天皇がいる日本の国体の護持の文言も、日本の領土の保全に関する文言も全く出て来ない。一般大衆に受ける言葉は前面に押し出し、一般大衆が出来れば避けたいと思っている「増税」のことついては、逆に「増税の前にやるべきこと」という一般大衆が聞いて心地よさそうな言葉を前面に出している。消費税増税については、国家財政堅持のためその具体的な方向性はきちんと決めるが、実施に当たっては事前に国民の審判を経てから行うという政府の方針を敢えて無視している。

 一部の弱小政党は、例えば「脱原発」で2万人規模のデモ(但し、彼らは「デモ」とは言わず、「抗議行動」だと言っている)に目を向けるが国の大事、大局的なことには敢えて目を向けようとしない。沖縄に配備予定のオスプレイのことについても、それが「危険」であるという一般大衆向けの言葉で配備に反対している。これに対して野田総理は、様々な声があることを承知している。反対の声がすべてではない、と国会で答弁している。しかし一般大衆は、人々の感情に訴える情緒的な言葉に踊らされる。民主党を離党した勢力が民主党内から減ったことで今後民主党の体質は変わって行くだろう。一般大衆向けのスローガンを掲げる政党ではこの日本国は世界の中で生き残ってゆくことは出来ない。一般大衆向けのスローガンを掲げる政党も、初めは自らの「生き残り」のため大衆に迎合しただろうが、一般大衆も「反面教師」らにしっかり学んで賢くなってきている。柳の下にどじょうは二匹もいない。

 かつて鳩山由紀夫氏は首相のとき、「この日本は日本人だけのものではない」と公言し、永住外国人に対して参政権を与える道を開こうとした。上述のように一般大衆受けするスローガンのみを掲げる政党の初代党首であったから、そのような愚かな発言をしたのであろう。愚かさといえば「沖縄からアメリカ軍の基地を無くす」という発言も同様である。野田首相は特例公債法案を成立させたら潔く衆議院を解散した方が良い。