2012年7月24日火曜日


いじめ問題を考える(20120724)

 大津の中学校いじめ自殺の問題が起きているとき、草加で中学2年生の飛び降り強要といういじめ事件が明らかになった。この事件は418日に発生していたのであるが、学校側は表沙汰にしなかった。表沙汰になれば学校側は校長以下学校の管理能力・教育能力が問われることになる。彼らはそのことを恐れたのである。大津の事件と共通の隠蔽体質がそこにある。子供たちの教育者が自己保身に走ると決して良い教育は行われないだろう。

 草加の事件では、件の中2生とは小学校5年の時からいじめに遭い、飛び降り強要の前日、肩にパンチされるといういじめをうけていた。飛び降りなければ金を持ってこいと脅されていた。飛び降りを強要され、泣く泣く飛び降り大けがをし、その後登校していない。飛び降りを強要した生徒たちは、飛び降りて怪我をした件の生徒を見下ろして笑っていたという。なんという冷酷さか!

 先生たちは肩パンチが数回あったと認識していた。数回あったと聞けば、それは氷山の一角であって、もっと頻繁に肩パンチが行われていたと思わなかったのか?! 教育者として熱心さに欠けていると言わざるを得ない。教師は件の生徒が学期末まで登校していなかったことを少しもおかしいと感じなかったというのは異常である。この問題は、大津の事件が告訴され事件となって捜査が進んできた段階で先週金曜日公表初めて、学校側は公表した。類が自分たちに及ぶと恐れたのであろうが、件の飛び降りて大けがをした生徒の保護者は告訴した。草加のこの中学校にも警察の捜査が及ぶことになるだろう。
 
 他人の不幸を見て笑う。その上、他人が身体的に痛みを受けていることを見て笑う。このような心理は何処から生じるのだろうか? 

 昨年、韓国で日本のチームが出場したサッカーの試合が行われた。その時、観客のスタンドから横断幕が広げられた。それには東日本大震災の被害、福島原発事故の被害を笑う言葉が書かれていた。確か「おめでとう」と書かれていた。日本側が抗議してその横断幕は取り払われた。良識ある韓国人は自国民のそのような行為に眉をひそめた。

 他人の不幸を見て笑う心理は、家庭教育、或いは学校教育、或いは社会教育が悪いから生じるものなのだろうか? 或いは他に生物学なものないのだろうか? 

 性格や知能は遺伝する。そのことが遺伝子の研究でわかってきている。ただ、それだけでは人間の全てがきまるわけではなく、その後の教育が大きく関わっていることは確かである。「坊主憎ければ袈裟まで憎い」、という諺があるように、人間は社会的な現象に左右される。いじめが警察沙汰になり、政府が真剣にこの問題と取り組むようになると、いじめは無くなるかもしれない。しかし、個人的、社会的あるいは国際的とを問わず、「いじめ」について遺伝学を含む生物学な原因がないのかどうか学問的研究を行うことも必要ではないのだろうか? 人間の根本的な本能に起因するものがあり、それをコントロールする遺伝的な仕組みがあるはずである。そのような研究を深めることによって人間はさらに進歩することができるのではないだろうか?