2012年7月9日月曜日


ソ連の南方侵略政策(20120709)

 このタイトルは『占領憲法下の日本』という本の中にあるものである。もう40年以上も前のことであり、当時のソ連はロシアにもどっているので、書かれていることは実際のロシア国家の行動とは異なるから、ここにわざわざ引用するのは無意味であると言われるだろう。しかし、国家というものは国民から成り立っているといえども国家と個々の国民とは別の行動をするものである。個々の国民はそれぞれ同じ人間であり、人間同士心を通じ合うものである。

 ところが国家となると個々の国民とは別の顔をもっている。個々の人間がそれぞれ自存のため行動するように、国家も一個の有機的組織体として自存の行動をする。それは当該国家の各機能部署ごとそれぞれ自存の行動をする。外交部署は外交部署で、防衛部署は武衛部署でそれぞれ自存の行動をする。その行動の大綱は国家の中枢で制御されるが、その中枢と雖も各部署の細部まで制御することはない。

 この本に書かれていることは当時のソ連国家の自存行動であって、それは今のロシア国家においても変わりないと考えられる。因みにシナ(中国)国家が第一列島線、第二列島線を勝手に引き、その内側に核心的利益を確保しようとするのも同じ自存行動である。国家同士はお互い自存のため衝突しがちである。以下“”で引用する。

 “北方で農作物貧困のロシアすなわち今のソ連は常に、その食糧獲得の必須的な国内事情から南方進出を計画している。日露戦争が起こったのも、ロシアが満洲を侵略して更に南下し、旅順(りょじゅん)に海軍基地を設けて日本を窺(うかが)おうとしたからなのであって、その南下のソ連国策は未だ決して変わっていないのである。

 ソ連はどうしても南下する必要に迫られているのであって、その事情分析を、国士舘大学の館長代行をしていられる横山彦真(ひこまさ)氏から送ってこられたから次にそれを紹介する。

ソ連は国が北に偏しているので(国土の四分の三は農耕に適しない――ジョン・ガンサー調査)従来から水陸の食糧を得ることに非常な困難を感じているが、これをひた匿(かく)しにしている。(人間のみならず家畜の者を含む)そしてこれを解決するため極力南方侵略を図(はか)っている。・・(中略)

 海からの糧食を得るために短き漁撈期間を利用するため、船団を組織し、大規模な機械を利用し秋刀魚(さんま)や鰯(いわし)を一挙に吸い上げ、しかも漸次(ぜんじ)南下して・・(後略)”


 メドベージェフ首相が国後で「隣(日本)は漁獲量が少ないようだ。われわれはここでわれわれの漁業をやろう。(売られているアサヒビール)を見て、日本は近いんだな」とか言ったようである。わが北方領土は彼らにとって漁業による食糧確保のため重要なのである。北極の白熊のように、捕った鮭は絶対手放さず、むしゃむしゃ食う。往時のソ連も今のロシアも、また日露戦争当時のロシアも変わっていない。

 シナ(中国)も同じである。13億の国民に食わせるためシナ(中国)国家はなりふり構わず、我が日本の領土をかすめ取ろうと虎視眈々である。日本の国家が国家観乏しい者によって運営されていると、彼らは隙あれば突っ込んでくるだろう。日米間の絆が危うくなると、ロシアもシナ(中国)も今がチャンスとばかりに飛びかかってくるだろう。