2012年12月5日水曜日


日韓関係の改善のために(107)「日露戦争への道/TPP交渉参加」(20121205)

 1896年(明治29年)2月、金弘集ら政府の要人が政変で殺害されるなどした後の朝鮮に親露派による新たな政権が樹立された。この新政府はロシアの傀儡政権であった。一方、朝鮮の宗主国としての立場を失った清国はロシアとの間で日本を対象とする軍事同盟を結び、皇帝と政権の出身地である満洲にシベリア鉄道と連接して満洲を横断する鉄道を建設する権利をロシアに与えた。朝鮮の新政府もロシアから国王の護衛・軍事・財政等の援助を取り付けた。朝鮮は自ら進んでロシアの保護下に入った。その朝鮮にロシアから軍隊を輸送できる鉄道網が建設されることになった。ロシアが東アジアでそのような権益を得ると他の列強も清国に次々と要求をぶっつけるようになった。

ロシアはしたたかな外交で日本を苦しめた。机の上では頬笑みを浮かべながら日本と手を結び、机の下ではもう一方の手で清国の手を握り締め、素知らぬ顔で日本を貶める行動に出た。日本は優れた国家指導者たちが「国の背骨」たる軍事力をもって日本の生き残り(=自存)の道を探った。そして遂に日本はそれこそ必死の思いで「国家の命運」をかけて大国ロシアに戦いを挑んだ。「外交のしたたかさ」では今のシナ(中国)も同じである。

今少しは影を潜めつつあるが、「TPP絶対反対」を旗印に本を出版し、講演し、一般国民の判断を惑わせている人物が何人かいる。彼らに共通していることは「自主独立」の精神が乏しいことである。百数十年前の朝鮮の国家権力者たちが正にそのようであった。暗殺され凌遅刑までされた金玉均ら急進開化改革派も、ロシア傀儡政府主導による「逮捕殺令」で殺害された金弘集ら穏健開化改革派らも、また一般の国民も、そのような権力者らによって悲しい運命に落とされたのだ。美辞麗句は一般大衆の判断を惑わす。

もし、いわゆる「言論人・識者」たちがTPP反対と同時に、①日本の自主憲法制定と現行憲法廃棄、②国防軍創設、③核武装も視野、④教育勅語復活、⑤外国人参政権反対、⑥夫婦別称反対、⑦皇統は本来「男系」を意味するが、敢えて言うならば「男系皇統維持」のため旧宮復活と「女性宮家」反対、なども強く唱えるならば、彼らの言葉に耳を貸そう。

戦後、一時期日本を二度と立ち上がれない国にしようとしたアメリカは数年後には「反共」のため日本を再軍備させようとした。今、シナ(中国)の覇権主義を警戒するようになったアメリカは尖閣問題で中立の立場を変更し、「日米安全保障条約適用・尖閣防衛」を明確に打ち出した。アメリカは日本の「力」を必要としている。国家は「利己的」である。日本も国際社会では「利己的」になって、アメリカとの間では相互信頼を深め、「Give & Take」の双務・互惠の精神でがっちり手を組みながら、一方でシナ(中国)や韓国・北朝鮮やロシア諸国とは友好的に付き合うことが日本の生き残り(=自存)の道である。