2013年1月25日金曜日


アルジェリアで息子の命を奪われ何もかも失ってしまった老婆(20130125

 このたびのアルジェリアにおけるイスラム武装集団による襲撃で尊い命を奪われた日本人の中に、2年前の3.11大震災で被災し、そのとき家も家財も一切を巨大津波で流されて何一つ残っていないまま仮設住宅暮らしをしているある老婆の一人息子がいる。その老婆は息子がアルジェリアでの仕事を終え、帰ってくるのを大変楽しみにしていた。ところがその老婆はたった一人の最愛の息子さえも失ってしまった。なんという悲しいことだろうか!イスラム武装集団を断じて許すことはできない!

 これまで日本は「人命は地球よりも重い」として、法を犯してまでもして武装過激集団の理不尽な要求を呑んできた。しかし彼らには人道主義は通用しない。彼らに通用するのは力だけである。理性のない野獣に人間の理性は通用するだろうか?この論理は人間でありながら野獣のような行動をする全ての組織に当てはまることである。人の体の中で増殖するがん細胞を自己免疫力や薬の投与だけで抑え込むことができれば問題ないが、それができないがん細胞についてはこれを外科手術で取り除くしかない。日本はアルジェリアで起きた悲惨な事件を経験したことを契機に、非合法な武装勢力に対しては「目には目」「歯には歯」の力で抑え込み、これを撲滅する道も選択しなければならない。

 公然と力で他国の領土を奪い取ろうとする国に対しても同様の論理で対決しなければならない。日本人の間で通用する論理は彼らに対しては通用しないのである。富の獲得・分配をめぐって、中世において日本国内でも起きていたような争いは、交通・通信・情報が高度に発達した現代においては世界中で、国家と国家の間や集団と集団の間で起きている。アルジェリアの天然ガス関連施設で起きた暴力で命を奪われた日本人たちはそういう争いの最前線で働いていたのである。「治安状態が良くなったから」といって決して気を抜いてはいけなかったのである。むしろ逆に、平和に感じられる状況であっても常に警戒心を緩めず、その警戒心を一層研ぎ澄まして、ありとあらゆる状況を想定した対策を講じておくことが肝要である。これは日本国家として真剣に取り組むべきことである。

今回の事件では何人かの内通者がいたようである。ボーイング787をめぐる問題につても然り、‘旺盛な疑心’をもってありとあらゆる可能性に対するありとあらゆる予防措置を講じておくべである。他者に対する親近感があると、「そんなことはあり得ないだろう」という「感情」を生む。工学的な専門知識があると「そんなことは起こり得ないだろう」と判断する。今回起きたアルジェリアでの事件やB787の不具合は、表に出ていない潜在的な「問題」が惹き起こしたものである。それらの「問題」は‘旺盛な疑心’があれば事前に見つかっていたかもしれないものである。日本は今後、表題の老婆のような状況が絶対起きないように、あらゆる予防措置を講じる努力をするべきである。