2013年1月19日土曜日


アルジェリアの天然ガス関連施設を武装勢力が占拠(20130119)

 アルジェリア東部イナメスにある天然ガス関連施設をイスラム武装勢力が占拠し、アルジェリア軍がその武装勢力を排除するため強硬措置に出た。このためその武装勢力の人質にされていた34人と武装勢力のメンバー15人が死亡したという。その関連施設で働いていた大手プラントメーカー「日揮」の社員17名中3名の無事は確認されているが何名かの死亡者も出たようだ。残余の日本人の安否は不明である。安倍総理を初め日本政府はアルジェリアに対し攻撃の中止を要請していたが、これまで武装勢力を抑え込んできてその経験豊かなアルジェリア政府は、少数の人命の犠牲をやむなしとしてイスラム武装勢力をアルジェリア国内から排除することを第一優先に行動したのだろうか?同施設にはフランス人・イギリス人・アメリカ人など多くの外国人が働いていた。そのイギリス人の中にも犠牲者が出た。イギリスのキャメロン首相はイギリス人の犠牲者の数が増えることを覚悟しなければならない旨の声明を出した。現地の日本人の多くは単身赴任であるに違いない。横浜を初め日本国内で夫や父親が無事であることを祈っている家族の心情は如何ばかりであろうか?すべての日本人はこのたびの事件で亡くなった方々のご冥福を心から祈ろう。

 日本はエネルギー資源の多くを中東に依存している。アルジェリアは中東ではないが、其処にもエネルギー資源の開発のため日本人が働いている。エネルギー資源の多くを海外から輸入しなければならない日本は原子力以外のエネルギー源を出来得る限り増やすようにしなければならないが、それは簡単なことではない。化石燃料や再生可能エネルギーにより発電したものを電力会社が買い取る費用は、その電力を消費する一般家庭や企業が負担することになる。また、海外からエネルギー資源を安全に輸入するためには、その輸送船の航行の安全を確保しなければならない。そのための費用も同様に負担しなければならない。安全・安心のための費用は決して安いものではない。一般国民や企業の安全・安心は多くの人々の公共に対する思いあってこそ実現できるものである。「日揮」の広報部長はテレビの前で、「日揮」の社員たちはそれなりの覚悟で現地に赴いていると話していた。

 昔旧建設省からある大手商社に転出し、経営幹部になったK氏から彼が若いころの話を聞いたことがあった。その話は彼が中東で経験した話で、1940年ごろのことであっただろうと思う。K氏は30数名の部下を引き連れ中東の某国で働いていた。そのときの苦労話である。当時は電気通信網も整備されておらず、故国に残した妻との連絡も取れず、非常につらい思いをしたという。そのK氏は我が国初めての民間通信衛星を保有し運用する会社の社長となった。国家公務員出身のK氏の頭にあったものは常に「国の為」ということであった。日本が今日の繁栄を見るようになったのは総合商社のそういった気骨のある社員たちのお陰であった。全ての日本人は、「ここは地の果てアルジェリア」と歌われる砂漠の中で、エネルギー資源確保のため命をかけて働いている日本人たちがいることを思おう。