2013年1月23日水曜日


犠牲者が出る前に「問題」の存在に気付くことが大切である(20130123)

 この度アルジェリアで起きたイスラム武装勢力によるテロリズムで非常に多くの犠牲者が出た。日本人の犠牲者は確認されただけでも7名である。アルジェリアの「日揮」の天然ガス関連施設ではそのようなテロを警戒して二重三重のセキュリティシステムを設置していた。それにも拘わらず内通者もいたようで国際的なテロリストの組織に襲撃された。犠牲者は銃で頭部を撃ち抜かれた。無事生還したが自分のすぐ近くで外国人同僚が殺害されたある日本人は「自分も殺される」と覚悟したそうである。

 ボーイング787の機体・システムのトラブルで高松空港に緊急着陸したとき乗っていたある会社員は緊急着陸で高度が急激に下がって行くとき「遺書を書かなければならない」と一瞬思ったそうである。787の操縦システムに電力を供給するリチウム電池が過充電のため加熱し機内に煙が出た。同型機はアメリカの空港に着陸後電池室に火災が発生したり誘導路を移動中燃料漏れを起こしたりしていた。もし飛行中その電池に火災が発生すれば搭載している燃料に引火し重大な事故が発生しかねない。幸いこの最新鋭機では犠牲者が出る前に緊急対策措置が講じられている。

 中央高速道路のトンネル内の天井板落下事故で多数の犠牲者が出た。原因は天井板取り付け部の経年劣化であった。これについては高速道路を全国的に緊急に点検する措置が講じられ、一部のトンネルでは天井板が撤去された。高速道路では首都高速道路網も含め、経年劣化が進行しており、抜本的対策を講じる必要に迫られている。

 大阪の市立高等学校ではサッカー部の顧問の教師による体罰で主将が自殺に追い込まれた。橋本市長は同校の体育科を廃止する決定を下し、市の教育委員会は体育科の入学試験の科目は同じにして普通科にすることを決定した。これにはかなりの抵抗があった。しかし橋本市長は顧問の教師による体罰を暴力と認定し、そのような暴力が起きる体質を抜本的に変えてしまおう強硬手段をとることにしたのである。

 人々は犠牲者が出て初めて「問題」の存在に気が付く。それまではその「問題」は表に出ていないので意識的に「問題」を見つけ出すようにしない限り潜在している「問題」に気が付かない。犠牲者の発生はブッダが人々を教え導くための方便かもしれない。ブッダの深い慈悲は人々にそのような「問題」が潜在していることを事前に気付かせることだと思う。「文化」「知識」「感情」の三つが潜在する「問題」の発見を邪魔している。「問題」を解くことも大切であるが「問題」を見つけ出すことも非常に大切である。家庭・学校・企業・社会で「問題」発見の技法を教え、広める運動が必要である。安倍新政権には是非このことに着目して必要な施策を講じて欲しいものである。