2010年6月5日土曜日

ブッダ『感興のことば』を学ぶ(77) (20100605)


新首相は菅直人氏が指名された。民主党代表候補として最大グループの小沢氏が田中真紀子や海江田万里氏や突然現れたニューフェース・樽床伸二氏をグループとして独自に推薦しようと試みたが、何れもその工作に失敗した。田中氏によれば小沢氏から直接働きかけがあったが「自分はその器ではない」と断ったとメディアの前で語った。樽床氏は菅氏と160票ほどの差で敗れたがそれでも130票ほど獲得した。その票には小沢グループも含め、各グループ横断的に若手の票が集まったようである。

男が問題にしたいのは、一国の指導者を選ぶのに議員内閣制とはいえ、特定のボスの意向が反映される可能性が大きい仕組みがあるということである。小沢氏は自分が書いた本には格好の良いことを書いているが、国の命運を正義よりも数の論理で推し進めようとしているように見える。小沢氏はその論理を実現させるためあらゆる手段で金を集め、金とポスト配分を一手に握ることにより権力を握り、「自分の名誉欲と金銭欲を満足させるためには長いものに巻かれるほうが得である」と考える者の心理を巧みに利用している。政治家になってみなければ理解できないことかもしれないが、「政治とはそういうことである」と分かったようなことを言う輩を男は大嫌いである。男は自分が昔から正義感の強い、潔癖症であることは自覚しているが・・。

しかし、議員内閣制は報道の自由が完全に保障されているわが国のような国では、国民にとって最も安全な、安心できる制度かもしれない。今回の民主党の代表選の様子はメディアを通じて逐一国民に知らされていた。昔のように首相が密室で決められていた時代では必ずしも国民の総意にそった人が首相になったわけではなかった。それでも官僚がしっかりしていたから問題はなかった。

民主党が政権をとってからは平成維新と称して極端に走り、官僚を排除する政治を行ってきたため普天間基地問題では迷走に迷走を重ねてしまった。鳩山元首相も首相になって半年も過ぎて自らの間違いに気付き、「勉強した結果抑止力のことがわかった」と言って沖縄県民の反発を押し切って日米政府間の合意を決定し、身動きできなくなってしまって首相の座を降りた。多くの民主党員たちも自分たちの過ちに気付き、鳩山氏と小沢氏ツートップを下すことによって生きのこる道を選んだ。それが今回の代表選の結果である。

社会的な事象における矛盾というものは、時が経てば必ず解消されるものである。ロシアは70年間に及ぶ壮大な社会実験を経て共産主義と決別した。そのロシアは民族問題という新たな矛盾を抱えて苦しんでいる。中国も共産党一党支配の政治構造で今後半世紀続けることができるかどうか。国内に抱える民族問題や農民は簡単には都市の住民の戸籍を得ることが出来ないという戸籍問題は火種としてくすぶり続けるだろう。その火種を消すため国民の目を外に向けさせるのはどの国でもよくやる手である。警戒が必要である。

23 称讃してくれる愚者と、非難してくれる賢者とでは、愚者の発する称讃よりも、賢者の発する非難のほうがすぐれている。

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