2011年11月22日火曜日

渡部昇一『日本史』を読んで日本人はどうあるべきか考える(82) (20111122)

 “さて、慶応四年(明治元年)/一八六八年三月十四日、明治天皇は公家や諸侯に対し、「五箇条(ごかじょう)の御誓文(ごせいもん)」を示し、明治新政府の方針を明文化した。これは近代日本の指針となった重要な声明である。以下に全文を記しておくことにする。”

 一 広ク会議を興(オコ)シ万機公論(バンキコウロン)ニ決スヘシ

 一 上下(ショウカ)心ヲ一ニシテ盛ンニ経綸(ケイリン)ヲ行フヘシ

 一 官武一途(イット)庶民ニ至ル迄(マデ)各(オノオノ)其(ソノ)志(ココロザシ)遂ケ人心ヲシテ倦(ウ)マサレシメン事ヲ要ス

 一 旧来の陋習(ロウシュ)ヲ破リ天地ノ公道(コウドウ)ニ基クヘシ

 一 知識ヲ世界ニ求メ大(オオイ)ニ皇基(コウキ)ヲ振起(シンキ)スヘシ

 この五箇条の御誓文は明治政府ができて最初の内容のある詔勅(しょうちょく)のようなものだが、いわゆる詔勅とは違い、天皇が神に誓ったものという形をとっているのが特徴である。”(以上、渡部昇一『決定版 日本史』より引用。)

 この文の意味は次のとおりである。五箇条の御誓文に続く御言葉の意味のみ添える。(明治神宮『大御心』より引用)

“一 広く人材を集めて会議体を設け、重要政務はすべて公正な意見によって決定せよ。

 一 身分の上下を問わず、心を一つにして積極的に国策を遂行せよ。

 一 朝臣武家の区別なく、さらには庶民の総てにわたって、各自の志望を達成できるようにはからい、人々を失意の状態に追いやらぬことが肝要である。

 一 これまでのような、かたくなな慣習を打破して、普遍性のある道理に基づいて進め。

 一 知識を世界の先進国に求めて、天皇の大業を振興せよ。

 これより、わが国では前例のない大変革を行おうとするにあたり、わたしはみずから諸臣の先頭に立ち、天つ神、国つ神に誓い、重大な決意のもとに国政に関する基本条項を定め、国民の生活を安定させる大道を確立しようとしているところである。諸臣もまたこの趣旨に基づいて心を合わせ努力せよ。”(以上、渡部昇一『決定版 日本史』より引用。)

 人として日々の暮らしの中に何か問題が起きあとき、原点に立ち戻り考えて出直すことが、それから先へ進む上で重要である。同じように、国として何か問題が起きたとき、国が歩んできた原点に立ち返って考え直し、再出発することが重要である。

 戦争に負け、有史以来初めて外国の軍隊に征服されたわが国は、戦勝国側の論理で裁かれ、東條英機首相以下七人が処刑され、アメリカ製の憲法と精神文化を押しつけられ、現在に至っている。その歪み・矛盾が各所にほころび始めている。

 左翼・売国奴・理想主義者・似非保守思想家たちはこの状態を有難がり、この状態を改め日本人が戦前の精神を取り戻そうとすることに激しい抵抗をしている。しかし、我々の子々孫々のため、日本は、原点に立ち戻り再出発することが必要である。   (続く)

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