2011年3月26日土曜日

大和魂(20110326)

 被災してまだ行方をも判らぬ医師の母親は、もう90幾つかとかいう。ある避難所で日々を送っている。その母親は、「(自分の息子が)医者の本分をしっかり果たしているだろう。もし、既に命を失っているならば医者として勤めを果たした上のことであろうからそれで良い。」と淡々と語った。

 被災したある即応予備自衛官は召集令状を受け取った。90歳を超える祖父母と同居している両親から「後のことは心配するな」と励まされ、普段支給されている装具をまとって集合場所にはせ参じ、‘予備役’部隊編成式を終えて任務地に派遣された。

 未曾有の大災害に遭ったこの国の至るところで、武士道の徳目・大和魂が顕れている。正に、道徳の力は測り知れぬほど大きい。日本人の先祖は、太古の昔、大陸から切り離される前1万年以上も長く平和な暮らしをしていた。そこへ弥生時代、大陸から新たな文化を持つ人びとが渡来してきて縄文人と争うことなく混交し、今の日本人の原型が出来た。「和を以って尊しと為す」というこの国の精神は、今日に至るまで引き継がれている。

日本人は、第二次大戦中、当時の敵国・アメリカによる空爆で、何10万人という人びとが死んだ。原子爆弾を落とされ、一挙に何10万人という人びとが死んだ。そして今回の500キロに及ぶ海岸線で大津波に遭い、何万人という死者を出し、何10万人という人びとが家を失い、避難所暮らしを余儀なくされ、その上、原子力発電所の被災による半径80キロを超える地域でも食物・飲料水への放射能汚染が生じている。

 世界で日本のように何度もダメージを受けた国はない。今回のダメージは最も大きい。にもかかわらず、日本は再び立ち上がるべく、奮闘している。決して負けない。年寄りは年寄りなりに智恵を出し、頑張っている。次の時代を担う若い人たち、子供たちは、更に頑張っている。甲子園球場では観衆も「日本を救うため頑張ろう!」と唱和している。

 武士道は、日本人のそのような生来持っている気質・心情の上に築かれた精神である。日本人はこのことを大いに誇りに思ってよい。世界中どこを探しても、日本のような国はない。かつて若者の間に「日本に誇りを持てない」といいう風潮があった。しかし、この大災害に遭ってそのような風潮は吹き飛んでしまっただろう。

 日本ギャルママ協会が、全国5000人の会員に呼び掛けて、被災地の子育て中のヤングママを支援するため立ちあがった。若い子育て中の母親のことを身にしみて知るからこそ、インターネットでの呼びかけに応じて本当に必要な物資が集まった。それを彼女たちの夫たちが数台の自家用車で被災地に送り届けた。拍手を送りたい。

 在日アメリカ軍は放射能汚染に対処するため、ヨウ素の配布を開始した。自衛隊は放射能汚染拡大防止のため、米海軍・海上自衛隊両軍艦船の連携で対処することにした。中国は病院船の派遣を日本政府に申し入れた。最悪の事態を何とか避けようと国を挙げて努力している。最悪の事態が起きる可能性がある。万一不幸にして最悪の事態が起きたとしても、殆どの日本人は決して乱れることはなく、組織的に秩序ある行動をとるだろう。

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