2011年3月22日火曜日

9日ぶりの救出(20110322)

 80歳の老女とその16歳の孫息子が9日ぶりに救出された。大津波に遭ったとき2階の台所で祖母と食事中だったという。二人は冷蔵庫の中に牛乳2本とかヨーグルトとか菓子とか水があったので生き延びることができた。救出されたとき、この少年は「おばあちゃんを助けて下さい」と言ったという。

 二人は隙間から薄明かりが入ってくるが立つ事も出来ない狭い空間内で、助け出されるのを待っていた。少年は閉じ込められた部屋の中からなんとかがれきの山を取り除き、屋根の上に登り屋根に這いつくばっていた。閉じ込められた中から、外で捜索活動が行われていることが話し声などで判っていたが、どうすることもできなかったらしい。

 このような例がまだ他にあるのではないだろうか?大津波に流され、元あった場所から遠く離れた場所のがれきの山積みの下で、まだ生きていて助け出されることを待っている人がいるのではないだろうか?

 テレビや新聞で、外国の捜索救助隊の活動について全く報道されていない。どうなっているのだろうか?外国の救助隊による生存者の捜索救助活動について、どのような調整が事前に行われ、組織的な捜索救助活動が行われたのだろうか?

 人間の体で言えば、大脳が障害を受け、外国の捜索救助隊の活動に対する調整ができない状態だったのだろう。被害があまりにも大きすぎて、手の着けようがなかったのだろう。しかし、コンピュータシステムのように、障害を受けた大脳の一部を、別の頭脳との連携で肩代わりさせるという発想は、全く出来なかったのだろうか?いや、そのような発想があったのだろうか?そもそも政府の危機管理室には、大規模災害発生時の対処について行動手順書があったのだろうか?

 NASAJAXSAなど、また民間の衛星通信事業者などには、エマージェンシー(緊急事態)対応の手順書がその他の運用手順書とともに常に準備されていて、常に見直しのミーティングが行われて、訓練されていて、緊急事態が発生すれば手順書に基づき直ちに実行されるような仕組みができているはずである。

 政府の危機管理室にも、そのような緊急対処の手順書があってしかるべきである。日本では、それをマニュアルと言っているのだろうが、プロシージャ(手順書)は、そのような、どちらかと言えば個人から個人への申し送り書のようなイメージのものではない。

 プロシージャは、「システム」あるいは「組織」を動かすための手順を、一定のレベルがある者であれば誰でも、訓練を受けて理解でき、緊急時に実施できるものである。日本は、この度の大規模災害を教訓として、早速、そのようなものを作成すべきである。自衛隊や民間のしかるべき企業には、そのようなセンスをもった人材が沢山いる筈である。